音楽ジャンルと黒人差別、80年にわたる不平等の歴史

ラベルを変えるだけでは問題解決にはならない

今日、「アーバン」なるカテゴリーは再び議論の源になっている。この金曜日[6月5日]、リパブリック・レコード――ドレイク、ジ・ウィークエンド、アリアナ・グランデ、そしてテイラー・スウィフトを擁するメジャーレーベルだ――がこの言葉を使用しないとの声明を発表した。もはや「過去のもはや時代遅れの構造に固執」したくないというのが理由だ。匿名でコメントを寄せたリパブリックの関係者によると、大多数のスタッフがこの変化を支持しているものの、黒人の従業員には未だ不安を拭えない者もいるという。「懸念しているのは、(アーバンという語の使用をやめることで)自分たちの職位が失われるのではないか、ということ」と関係者は語る。数十年にわたって、黒人の幹部にとって「アーバン」部門は唯一の安全地帯だった。もし「アーバン」がなくなってしまえば、なにが守ってくれるのだろうか?

・米グラミー賞「アーバン・コンテンポラリー」名称問題、「プログレッシブR&B」に変更

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音楽産業のいくらかの人びとは、慎重ながらも楽観的だ。ショーン・バロンはモータウンのA&R部門のトップだが、リパブリックの動向を「正しい方角に向かった一歩」と評する。続けて、「『アーバン』というラベルは決まった枠にあなたをあてはめてしまう」という。「私たちはみんなあらゆる種類の音楽が好きなのだから、ポップな音楽をやりたいというときに『おお、君はアーバンミュージックをやるんじゃないの(だからできるわけがないだろう)』なんてことになってはいけない」

他方、「アーバン」という言葉を使わなくなっても、実際のレーベル運営に変化はもたらさないのではないかと懸念する者もいる。ペンキは塗りたてだがその下の家屋自体は変わらず、基礎は腐ったままだ。

この言葉を使わないという選択は「私たちが生きる今、特にこの10日間においては良さそうに見える」と語るのはダニエル・“バード”・デジール。デジールはリッキー・ラックス、タズ・テイラー、ニック・ミラなど多くの売れっ子プロデューサーのマネジメントを手掛けている。「しかし、実際それで何が変わる?」

「レーベルは単に言葉の使い方を変える以上の注意深い判断をする必要がある」と付け加えるのはデヴィッド・“スワッグ・アーシリアス”・ハリス。作曲家兼プロデューサーで、H.E.R.との仕事で知られる。「私たちに必要なのは構造的な変化で、ラベルを変えるかどうかではない。さもなければ『アーバン』と似たような『ブラック』の言い換えがまたできるだけだ」

Translated by imdkm

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