マイケル・J・フォックスが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を語った、1985年の秘蔵インタビュー

ーマーティ・マクフライは期せずして両親の人生の流れに干渉しました。あなたもチャンスがあれば、両親を変えたいですか?

マイケル:僕は今のままの両親が好きだ。2人がどう考えているか分からないけど、すごく幸せそうだ。両親ともすごく力になってくれた。父は時々おっかなくなることもあるけどね。25年間陸軍にいて、それから15年警察官をやってるから、つい大声になっちゃうんだよ。

母はカナダの田舎町で育った。両親がもっとチャンスに恵まれていたら、どんな人生だったんだろうとたまに考える。子ども時代にもう少しいろんな可能性があっただろうに、とかね。でも、僕が勝手に推測するのはフェアじゃない。2人もすごくいい人なんだ。

ー自分の幼少時代を変えてみたいとは?

マイケル:いいや。最高の子供時代だったよ。僕のコメディ論を知りたいかい? 演劇のもっとも古い形式は夕食の席なんだよ。5~6人で集まって、毎晩同じ役者が、毎晩違う脚本で毎晩新しいショウを繰り広げる。長年ずっと一緒に仕事している、息の合った仲間たちさ。うちでは、食事の席で一番面白い人間は兄だった。僕もアレックス(『ファミリー・タイズ』でフォックスが演じる役柄)を、食卓で一番面白いやつにしたいんだ。

ー『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、少年とイカれた発明家の友情も描かれています。マーティ・マクフライにとってのドク・ブラウンのように、あなたにも師と仰ぐ人物はいますか?

マイケル:何人かいるよ。ゲイリー・ゴールドバーグ(『ファミリー・タイズ』のプロデューサー)はその1人だね。僕にとってのヒーロー的な存在は彼だ。しかも僕のボスっていうのが最高だろ。でも、ドク・ブラウンのような存在はロバート(・ゼメキス監督)だろうね。マーティ・マクフライがドクに感じたのと同じような気分になった。彼は僕を励ましてくれて、いつも傍にいてくれたんだ。

ー青春映画というジャンルについてどう思いますか?

マイケル:素晴らしいと思うよ。ようやく来たという感じだ。今までもいわゆる青春映画というのはたくさんあったけど、どれも現実の若者の姿を描いていなかった。ほら、アンディ・ハーディ[1930~40年代の映画シリーズの主人公]は現実的じゃなかっただろ。ようやく若者の存在が認められるようになってきたんだ。彼らの物語は胸にグッとくるし、人を惹きつけ、はっと気づかされる部分もある。だから爆発的にヒットしたんだよ。最近は「若造連中ども」なんていうふうに悪く呼ばれるのは、なんだか悔しいね。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は『ブレックファスト・クラブ』とは違って、社会問題を扱ってはいないけれど、僕自身は――僕が「愛のメッセージ」なんて言葉を口にするのは気の抜けたペプシみたいな感じだけど、重要なメッセージを伝えていると思う。僕は気に入ってるよ。

Translated by Akiko Kato

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