評価や成果に捉われない 改めて考えるべき“より深い”自己肯定感とは?

そして、何かに失敗したり、うまくいかなかったりしたとき、それに対しての反省はもちろん必要なことですが、一方ではそれでも受け容れられた、という経験の積み重ねも重要です。逆に、そうした時に否定され自尊心を奪われるようなことばかりが積み重なってしまうと、自分のネガティブな面と向かい合ってそれを受け容れることができなくなったり、過度に失敗を恐れるようにもなってしまったりします。自己肯定感において、自分のネガティブな面も含めて「それが自分であり、それで大丈夫」と感じられることが大切なのですが、それには身近な周囲の人や社会が「誰かがその人として存在することに、何かクリアしなければならない条件など何一つないのだ」という認識を持つことも必要です。これは前回の連載で紹介した「カウアイ研究」で証明された「パーソナリティや心身のハンデキャップの有無に関係なく、無条件に受け止めてくれる人が周囲に最低でも1人いる」ことが人のレジリエンス(回復性)を高める、ということにも通じる、現代社会においてとても重要なことだと思います。

参照:
鬱に悩まされていたケンドリック・ラマーが語る、スターダムと鬱の関係性Rolling Stone Japan 編集部 |2018/07/27 20:20
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/28744

「私の心理臨床実践と『自己肯定感』」 高垣忠一郎 『立命館産業社会論集』第45巻第1号 

「カウンセリングを語るー自己肯定感を育てる作法」高垣忠一郎 かもがわ出版
「人生に、上下も勝ち負けもありません」野村総一郎 文響社



<書籍情報>




手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。

Official HP
https://teshimamasahiko.com/


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