リベラルな名門校が性的暴行の温床に 教師と生徒の距離が近すぎると批判

米オレゴン州ポーランドにあるキャトリン・ガベル・スクール(Photo by Tedder/Wikimedia Commons)

米オレゴン州のエリート校、キャトリン・ガベル・スクールで教師陣による生徒への性的暴行が多発。学校側は長年にわたり事実上隠ぺいしてきたとされている。

米オレゴン州ポートランドの全日制私立学校、キャトリン・ガベル・スクールの高校2年生だったイザベル(仮名)は、スポーツが生きがいだった。「いつもハッピーにさせてくれるものでした。私にとっては、この先もずっと続けていこうと思った大きな目標だったんです」と、現在24歳の彼女は言う。うつ病、自傷行為、摂食障害に悩まされながらも、サッカーは「生活の健康的なはけ口のひとつ」だった。卒業後は、大学リーグの1部リーグでプレイするのだと張り切っていた。

そんな時、イザベルは陸上コーチのデオンテ・ハフと出会った。彼は大学時代に選手として活躍し、エネルギッシュで、魅力的で、生徒たちからも好かれていた。「女子はみんな彼が素敵だと言っていました」と、イザベルはローリングストーン誌に語った。イザベルとハフは練習中に親しくなり、夜遅くまでメールをやり取りした。彼女は自分が精神疾患を抱えていることも打ち明けた。2013年春、とくにつらい時期を迎えていた彼女に、ハフは自宅で一緒にマリオカートをやろうと誘った。イザベルが言うには、彼から初めて性的暴行を受けたのはその時だった。「そのあとは、精神的にボロボロで何も覚えていません」と彼女は言う。

2013年の刑事起訴によると、ハフはその後も何度となくイザベルに性的暴行を加え、携帯のGPSで彼女がハフの家にいることを両親が突き止めるまで続いたという。のちに彼は逮捕され、第2級性的暴行で有罪を認めた。その後の警察の捜査で、彼がキャトリン・ガベル校の他の生徒のヌード写真を所有していたことが判明した。彼は禁固18カ月が言い渡された。

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多くの性的暴行の被害者と同じように、イザベルもハフから受けた仕打ちを受け止めるのに苦労した。だが、キャトリン校での悪夢は始まったばかりだった。生徒たちは、ハフが解雇されたのは彼女のせいだと非難し、教職員はあからさまに彼女を無視した。彼女は自殺未遂を図り、入院患者専用の治療施設に入る羽目になった。

施設を退院する日、彼女は両親から学校には戻れなくなったと聞かされた。イザベルの両親によれば、彼女が校則を破って無断外出した――ハフの家で暴行を受けた時のことを指している――のが理由だと言われたそうた。「自分に責任がある、と言われたも同然だと思いました。私の行動があまりにもひどいので、退学させられたのだと」と、彼女は振り返る。

Translated by Akiko Kato

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