SKY-HIライブレポ「原点から見た夢の現在地、前例のない未来へ」

「愛と感謝とリスペクトを持って次の戦いに向かう」

アンコールを「カミツレベルベット2020」の新MVで封切ると、2番では新作のLOVE/HATEを着て登場。いつもであればLOVEがフロントで、HATEがバックであるデザインなのだが、今回は“NO HATE”がフロントで“MORE LOVE”が背中。その姿だけで、より多くの愛を背負い憎しみに立ち向かっていこうと訴えているようだった。



MCを挟み、怒涛のキラーチューンゾーンへ。「Double Down」で飛んで跳ねて歌い踊り、「Snatchaway」「Seaside Bound」と盛り上がるナンバーが休むことなく繰り広げられていく。視聴者による楽曲投票では「Blue Monday」が選ばれ、青い照明が会場を包みこんだ。フロアに寝転がったり、投票結果をカメラに見せたり、自由な雰囲気でファンと一緒にステージを作りあげた。

「愛と感謝とリスペクトを持って次の戦いに向かうべきかな、と思うんだよね」と語ると、「Thanks To You」が紡がれた。一つひとつの言葉に愛を落とし、関わっているすべての人に真っ直ぐな気持ちを届けていく。「I Think, I Sing, I Say」「Marble」と真摯な思いを編みあげ、信念のある音楽は画面越しでも伝わるのだと実証してみせた。

全身を真っ白な衣装に包み、髪も金にして臨んだ『We Still In The LAB』。世の中の変容や目を背けたくなるニュースの連続により、企画時の彼が想像していたステージではなかったかもしれない。しかし、時代を汲んで柔軟に対応していく姿勢すら、SKY-HIらしいと思うのだ。8年ぶりに初めてワンマンライブをやったステージに立つという大切な日ですら、彼はいろんなことを考えていた。政治も差別も社会も、もちろんSKY-HIに関わる全ての人のことも。様々なことに興味を持ち、世界が少しでもよくなるよう音楽をとして発信していた。心に冷たく突き刺さるできごとすら全部ひっくるめて、愛や気づきに昇華してくれるアーティストこそSKY-HIなのではないだろうか。悲しきかな、先行きの見えない日々は続いている。だからこそ彼が時代の光として、再びヒップホップへの門戸を広げ、新たな“前例のない未来へ連れて”いってくれることを願わんばかりだ。


Photo by Satoshi Hata

<INFORMATION>

7月19日(日)有料配信ライブ
「Round A Ground 2020 -RESTART-」開催決定
詳細:後日発表
Round A GroundのRound64.5として、初の試みとなる有料配信ライブが開催決定。

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