MELRAWこと安藤康平が語る生音の魅力、WONKやKing Gnuら同世代との出会い

MELRAWだから知る生音の魅力
「楽器やってみたい」を増やしたい

ー多くの人がDTMで音楽を作る時代における、楽器を生演奏することの意味について、安藤さんはどうお考えですか?

MELRAW:僕自身はもともと細かい作業が苦手で、DTMはMELRAWと一緒に始めたので、まだ2~3年なんです。でも、DTMで音楽を作ってる人が何かのきっかけで僕のサックスの音を聴いたりすると、「やっぱり生じゃないとダメだね」って言うんですよね。僕にとっては逆にカルチャーショックだったんですけど、管楽器ってMIDIの再現力がまだあんまりで、カラオケ屋さんとかスーパーで流れてるみたいな、ああいう音がヒップホップのトラックのソロとかオブリで結構使われてるんです。で、「これ生でやると違いますか?」って聞かれて、「一回聴いてみる?」って吹いてあげると、「これは生音要るわ」ってなる(笑)。

ーやはり、本物の楽器演奏は全然別ものだと。

MELRAW:やっぱり全然違ってくると思います。特にサックスは息遣いが大事だから、歌に近いというか。最近ヒップホップの現場が多くて、去年KANDYTOWNとShurkn Papのライブに出たときに、どっちも「一人で2~3分くらい何か吹いてください」って言われて。「それをHIPHOPキッズたちに聴いてほしい」って。本物っぽいピアノの音にしても、ピアニストがいなかったら弾けないわけだから、楽器が他のものに取って代わられる心配はしてないです。もっとターミネーターみたいな「機械と人間の戦争」的な時代がくるのかなと思ったけど、今はいい共存の仕方だと思うんですよね。

ーでは最後に、今後MELRAWとして、もしくは安藤さん個人として、どんな音楽活動をしていきたいと考えていますか?

MELRAW:MELRAWに関しては、続けていくことが使命だと思ってます。メジャーアーティストではないので、「何かに迫られて」っていうんじゃなくて、ただ「かっこいいよね」というものを作り続けたい。まあ、MELRAWをやったり、プロデューサー的な側面があったりしつつ、僕個人のマインドとしては「楽器奏者」ではあるんです。でも、「知る人ぞ知る」みたいな存在とは違う風になりたいとは思っていて。King Gnuのバックで『ミュージックステーション』に出たとき、すでに認知してもらっているような反応が多くて、「これは名無しの権兵衛ではないな」って思えたんですよね。楽器奏者って「サウンドを支える」みたいな職人のイメージがあるけど、そうじゃなくてもいいと思う。僕が憧れたロックギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンも、スラッシュも、TAK MATSUMOTOも、みんな昔から楽器を持ったヒーローだったわけですよね。今の若い子はみんなラップしたいと思ってるのかもしれないけど、プレイヤーとかアーティストという境界を超えて、「楽器かっこいいな、やってみたいな」って思ってもらえるようになりたいですね。


Photo by Kana Tarumi

MELRAW’s Instruments(左奥から右回りで)
フルート、Fender Stratocaster、AKAI MPC ELEMENT、
Monoji Kumar & bros シュルティボックス 13ノート、AKAI EWI4000s、micro KORG、SELMER サックス

「サックスは60年代のSELMERで、高3の頃からずっと使ってます。フルートをちゃんと吹くようになったのはWONKからなので、WONKの作品を一から順に聴いてもらうと、僕のフルートの音がどんどんよくなるのがわかる(笑)。ギターに関しては、もともとレスポールが大好きだったんですけど、最近のネオソウル以降のギターはアームが要るから、『ストラト持ってねえ』と思ったときに実家からお父さんのを持ってきちゃいました(笑)。シュルティボックスというのはインドの古楽器で、アコーディオンみたいなものなんですけど、ヨガとか瞑想に使う楽器で、MELRAWの次作で使ってます。ウィンドシンセに関しては、もともと鍵盤が一番苦手で、リードシンセを上手く弾けない代わりに、これで吹けばできるなと思って買いました。これをコントローラーにしてヴォコーダーをやるっていうのは、LAとかでゴスペル系のアメリカ人がやってたんですけど、日本人では僕が最初だと思います。MPCはもともとフィンガードラムのための楽器だと思ってて、STUTSくんみたいなスタイルで触って遊んでました(笑)。今日持ってきた楽器たちもまだまだほんの一部です」

Edited by Yukako Yajima

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