NASCARの黒人ドライバー、ガレージで絞首縄が発見される

黒人唯一のNASCAR正規ドライバー、ババ・ウォレスのガレージで絞首縄が発見され、FBIが捜査に乗り出す(Photo by Wilfredo Lee/AP/Shutterstock)

黒人で唯一のNASCAR正規ドライバーを務めるババ・ウォレスのガレージで絞首刑用の縄が発見されたのを受け、FBIが捜査に乗り出すことが22日に発表された。縄が発見されたのは、NASCARがレース会場で南軍旗を全面禁止する措置を発表した直後だった。

AP通信によると、アメリカ連邦検察庁のジェイ・タウン検事、FBI、司法省の公民権局が現在状況を確認している。「連邦起訴が立件されるかどうかはともかく、このような行為は我々の社会には無用です」とタウン検事は述べた。

ここ最近、ジョージ・フロイドさんが警察の手で亡くなった事件に伴う抗議活動が激化している中、NASCARは南軍旗(奴隷制度維持を主張した南部連合が使用した戦旗)を禁止。ウォレスは抗議活動の熱心な支持者だった。「NASCARのイベントにおける南軍旗の存在は、全てのファンや競技者、業界関係者を温かく、分け隔てなく迎えるという我々の使命に反するものです」と、NASCARは声明を発表した。「レースを愛する気持ちと、そこから生まれるコミュニティに人々が集まる。これこそ、我々のファンや競技が特別たる所以です。今後は全てのNASCARのレースおよびイベントで、南軍旗の掲示を禁止いたします」

6月20日のレースは緊迫した雰囲気に包まれた。アラバマのレース場ではファンが南軍旗を掲げた車を走らせ、上空には「NASCARへの資金供給停止」という横断幕をつけた飛行機が飛んだ。レースは雨で延期されたが、絞首縄が発見されたのはその後だった。「激しい怒りに震えています。我々が今回の悪質行為を我々がどれほど重く受け止めているか、改めて強く申し上げます」とNASCARは声明を発表した。「以前もはっきり申し上げましたが、NASCARには人種差別は無用です。今回の行為は、全ての人々に開かれた温かいスポーツを目指す我々の決意をさらに強めるだけです」

26歳のウォレスもこの週末にTwitterで声明を発表した。「人種差別や憎悪という卑劣な行為は、本当に残念でならない。社会が歩むべき道のりは長く、人種差別との闘いもまだまだ続けていかなければならないことを痛切に思い知らされた」

【画像】ウォレスのツイート(日本語訳あり)

彼はこれまでのレースで「I Can’t Breathe(息ができない)」と書かれたシャツを着用し、自分のレースカーの車体にもBlack Lives Matter(黒人の命も大切)とペイントしていた。

【動画】FOXニュースの白人司会者、黒人の出演者が人種差別問題を語りはじめた途端に大声で遮る

Translated by Akiko Kato

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