羊文学・塩塚モエカ×君島大空 共鳴し合う2人がギターを奏でる理由

ギターの弾き方は無限大
不完全な楽器だからこそ面白い

ー今更ですけど、ギターを弾くのって楽しいですか?

塩塚:楽しい!

君島:僕はそこまでとは思わないんですよね。自分で弾いて歌うなら、本当はピアノのほうがいい。

塩塚:え、そうなの?

君島:鍵盤のほうがいいなって思うことは多いかな、同時発音数も多いし。

塩塚:でも、ギターもいろんな音が出せるじゃん。

君島:たしかに。最近のエフェクターの進歩はすごいしね。ギターらしからぬ音、シンセみたいな音が出せるものもあるし。

塩塚:そうそう、エフェクターも楽しいし……私はお家用の小さいアンプの音が好き。あのチープな感じ。練習用の安物なんだけど、それでチャラーンって鳴らすと、大きい空間みたいなのが広がって綺麗なんですよ。

君島:わかる、僕も中学生の頃からずっと同じアンプを使ってる。

塩塚:あと、君島さんは(ギターの)指板上の音が全部見えてるのかもしれないけど、私はスケールも見ようと思えば見えるってくらいだから、変な押さえ方してありえないことが起こったりして(笑)。それと私、OOIOOが大好きで。ライブに行ったらネックをめっちゃ叩いたりしてた(笑)。

君島:その話で言うと、僕の一番好きなギタリストはマーク・リボーなんですけど……あの人、ギターに出せることを全部やるんですよ。ギターの歴史をしっかり汲んだうえで、それを壊しながら演奏している。YouTubeにギターソロの映像があがってるんですけど、かなりボロボロのビザール・ギターで、チューニングも全然合ってないんですよ。で、それを弾きながら歌ったかと思えば、急に叩きだしたり、風船を当てて音を出したり、プリペアード・ギターみたいな感じで(弦とフィンガーボードの間に)ドラムのスティックを差したりして。そういう意味で、ギターにはおもちゃっぽいところがあるというか。



塩塚:打楽器のようにも使えるしね。弾き方は無限にあるし、人によっても全然違う。

君島:あと、ギターってピアノや他の楽器と違って、チューニングが完全に合うことがないんですよ。ずっと不完全な感じ。ライブ中に弦が切れますからね(笑)。そこが逆に面白いのかなって。

ー塩塚さんの好きなギタリストは?

塩塚:長岡亮介さん!

君島:いいね。僕も一時期めっちゃハマって、真似しようとしてた時期がある。

塩塚:すごいなー。私もあるけどできなかったな。ここ(ギターのボディ裏)にペトロールズのステッカーを貼ってました。

ーどのあたりに惹かれます?

塩塚:長岡さんも「こんな音が出せるの?」「そんなふうに弾けるの?」って感じだし、フレーズのひとつひとつが綺麗で過不足ない。あの記号っぽい感じ、出しゃばりすぎない姿勢が好きです。

君島:たしかに、ペトロールズは衝撃的でしたね。

塩塚:あとは……君島さん?(笑)。あんなふうに自由に弾けたらいいな、練習しようっていつも思ってます。

君島:僕はギターが上手い人、全然好きじゃない。それよりは……ギターなんてどうでもいいと思ってる人のほうが好き。

塩塚:私じゃん(笑)。

君島:「マーク・リボーのどこが好きなんだろう?」って考えてたけど……おそらく、彼はギターがめっちゃ好きなんだけど、かといって執着しているわけでもない。その感じが好きなのかな。

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