Suspended 4thが語る楽器へのこだわり「他のバンドと違う一番の理由」

2本のギターのアプローチとエフェクター・ボードに対する徹底したこだわり

ーSuspended 4thにおける楽器のアプローチは?

鷲山和希:自分のギターは、他の3人に何がしたいのかを伝えるためのアイテムみたいな感じで使ってますね。音源通りに弾かないことが多いのは、それがあるからで。「今日はこうしない?」っていうのをギターでアプローチする、そういう使い方をしてます。

澤田誠也:それを僕はキャッチする側で。時にキャッチしたり、しなかったり(笑)。「いや、俺はこう行きたい」っていうので、キャッチボールしてる感じですね。けっこうみんな我が強いから。

福田裕務:俺は我が強くないから、付いていくだけですね。

デニス・ルワブ:僕は完全にドラムがリードヴォーカルだと思ってやってます。



ーベースも付いていくだけとか言いながらも、その中で120%派手にやろうとしていますよね。

福田裕務:消極的だけど、目立ちたがり屋なので(笑)。

鷲山和希:他の3人はそれを知ってるから、こいつを使えば、自分は弾かなくてもいい、叩かなくてもいいってなるんです。

澤田誠也:3人でずっとサッカーの三角パスをしてて。良いシュートタイミングをずっと探ってる感じですね。「ここだ、行け~!!」って決めて。

デニス・ルワブ:福田さんのベースソロの時だけは、ティータイムだと思ってますね(笑)。

ー音楽をやる上で、やっぱり楽器は最大限に楽しんで演奏したいんですよね。

鷲山和希:それはもちろん。今自分たちが使ってる楽器にしても、ヴィンテージの機材が多いんですけど、それはいろいろ現行品を試した上で、自分たちのパッションを伝える道具はこの年代のものしかないなと思ったからで。だから、現行品でこと足りてるような他のバンドは、たぶんそこまで楽器を追求できてないのかなとも思ってしまいますね。

ー今使っている楽器について教えてください。

鷲山和希:俺は2本使い分けてて。1964年と1965年のフェンダーのストラトキャスターです。片方はけっこう出力が高くて、片方は出力が弱いというか、ちょっと現行品っぽいんです。ロックをやる時は荒々しい方で、ジャズっぽくコードのアプローチをしたい時は現行品っぽい方を使ってます。


鷲山和希(Gt&Vo)

澤田誠也:僕は実はそんなにこだわりがなくて。今のギターも自分の私物じゃないんですよ。1958年のレスポール・ジュニアなんですけど、実は鷲山とデニスがある日突然ギターショップから帰ってきて、「澤田さんはこれが似合うので、弾いてください」って渡されたんです。このギターはスゴく気に入ってるんですけど、例えば、アンプを変えたり、他のギターを弾いたりしてる時も、割と僕のトーンが出せたりするんですよ。


澤田誠也(Gt)

ーギター、ベースのエフェクターは、岐阜県美濃加茂市の「音の樹工房」のブランド「Zahnrad(ツァーンラート)」と組んでいますよね。

鷲山和希:足元は超お世話になってますね。音の樹工房の薫田さんに、エフェクターをつなぐパッチケーブル、シールド、電源とほとんど全部作ってもらってます。自分たちに合った音を作ってもらってるし、とにかくトラブルが少ないんですよ。

澤田誠也:僕も同じ人にお世話になってて。エフェクターも5体ぐらいは作ってもらってます。

ー使っているエフェクターを教えてもらえますか?

澤田誠也:ZahnradのINVERSIONで、僕らの楽曲「INVERSION」を製品名に付けてもらいました。



鷲山和希:改良品みたいなものですね。

澤田誠也:鷲山がシャア専用ザクに乗ってて、僕はザクに乗ってる感じ。シャア専用ザクは反応がシビアすぎて、ニュータイプにしか乗りこなせないけど、ザクは普通の兵隊でも操作できる、そんな感じですね。ワウの方は、けっこう珍しいGuyatoneのCry-Maxを使ってるんですけど、一度ハメたらなかなか動かない頑丈な軍用のスイッチクラフトに変えてもらいました。これの次に通るのが、最近Zahnradから出たFLUXというオクターブ・ファズで、Foxx Toneの改良版みたいなものです。こいつはいろんなところに置いて使うことができるので、けっこうクリエイティブなんですよ。で、その次がZahnradのZVKCっていう、Centaurのクローン・モデルなんですけど、ローノイズで使いやすくて、カッコいい音が出るし、小さいからコンパクトなのにも対応できるし、壊れにくいんです。INVERSIONとZVKCはレギュラー・メンバーなんですけど、僕の場合、他はその時の趣味趣向でコロコロと変わるんです。最近はBOSSのディレイを2個組み合わせてますね。

澤田誠也:俺がメインで使ってるのは、二つのファズです。二つ使い分けてるのは、ゲートがかかるヤツとゲートがかからないヤツがあるからで。ゲートがかかるヤツが製品版INVERSIONっていう感じで、かからないヤツが普通にファズフェイズみたいな感じで使うんです。二つ並べておくと、簡単にスイッチングできるんですよ。ワウの方は、VOXのヴィンテージの1968年のワウです。みんなが頭に思い浮かべるようなワウは、ピクチャー・ワウとかシグネチャー・ワウなんだろうけど、これと同じ年代のものを買うと30万くらいするんです。でもこれはもっと安いヴィンテージ・ワウで、5万ぐらいで買いましたね。あまり言いたくないんだけど、V846を買った方がいいよっていう情報です(笑)。チャカポコもきれいに出るし、フレーズも弾けるし、下げてる時は柔らかいトーンになって、それでコード感があるのが奇跡ですね。

ブルースドライバーは1995年、初年度のBOSSのもので、規格外なんですけど、俺の周りに20台あった1995年製のブルースドライバーの中で、当たりだったんです。ブルースドライバーって歪ませると、荒々しくてファズっぽくなるんですけど、これはハイがすっきりしてて、どれだけでもゲインを上げられる。Jan Rayもありますね。あと、ABセレクターもあって。Aにすると普通なんですけど、Bにするとチューナーに行って、しかもミュートになるんです。チューナーのバイパス音ってスゴく悪いので、そこを通さない直列ができるシステムになってます。あと、電池が切れたら、すぐに足元で電源に行けるようにしてて。どんなトラブルがあっても自分で対応できるようなボードになっています。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE