永久不滅のパンク・アルバム 人気ベスト10

7位 デッド・ボーイズ『デッド・ボーイズ登場!!〜ヤング・ラウド・アンド・スナッティ』


1970年代後半、小さくも影響力のあることで知られていたクリーヴランドのパンクシーンから誕生したザ・デッド・ボーイズは、1977年に移住したニューヨークのCBGBで定期的に演奏し始めた頃から注目を集めるようになる。前身バンドであるロケット・フロム・ザ・トムズの主要メンバーに、カリスマ的フロントマンのステーヴ・ベイターが加わったことで誕生したザ・デッド・ボーイズは、飛ぶ鳥を落とす勢いでファンベースを拡大し続け、その活躍はサイア・レコーズの目にとまる。同レーベルから1977年にリリースされたデビューアルバム『デッド・ボーイズ登場!!〜ヤング・ラウド・アンド・スナッティ』は、名曲「ソニック・リデューサー」で幕を開ける。ロケット・フロム・ザ・トムズ時代からあったという同曲はパンク史に名を残すアンセムとなり、他にも名曲ぞろいの本作は当時のパンクシーンを象徴する作品のひとつとなった。しかしそのキャリアは長くは続かず、バンドは翌年にセカンドアルバムを発表した後に解散する。ベイターは1990年、パリでタクシーにはねられる交通事故に遭い、惜しまれながらこの世を去った。




6位 ザ・ラモーンズ『ロケット・トゥ・ロシア』


ラモーンズは1976年発表のデビュー作で独自のサウンドを打ち出したが、そのユニークな音楽性を真に確立したのは、翌年後半に発表されたサードアルバムの本作だったとする声は多い。本作はオリジナルメンバー4人で制作された最後のアルバムであり、「ロッカウェイ・ビーチ」「シーナはパンク・ロッカー」「クレティン・ポップ」「ティーンエイジ・ロボトミー」「ゴーン・トゥモロー」といった、彼らの代表曲が数多く収録されている。リスナーを一瞬たりとも飽きさせないパンク史の金字塔となった本作は、過去2作における最高111位という記録を大きく上回り、ビルボード200の49位にランクインした。しかしラモーンズの功績が広く認知されるようになったのは、皮肉にもメンバーの多くがこの世を去った後のことだった。




5位 イギー・アンド・ザ・ストゥージズ『淫力魔人〜ロー・パワー』


ラモーンズのメンバーたちがクイーンズのフォレスト・ヒルズから登場するはるか前、ザ・ストゥージズは1969年発表のデビュー作『イギー・ポップ・アンド・ストゥージズ』、そして1970年作『ファンハウス』の2枚で、パンクシーンの礎を築いた。その2作は現在でこそロックの歴史に名を残す名盤として語られているが、当時のセールスは振るわず、バンドはほぼ無名だった。当時から彼らに目をつけていたデヴィッド・ボウイは、自身が影響力を持つようになると同時に、彼らを表舞台に引き上げようと尽力した。ボウイはまずイギー・ポップとギタリストのジェームズ・ウィリアムソンをロンドンに呼び寄せ、後にドラマーのスコット・アシュトン、そしてその弟であり、ギターからベースに持ち替えることを強要されたロン・アシュトンをバンドに加える。ボウイの全面的サポートを得て、バンドはわずか数週間で『淫力魔人〜ロー・パワー』を完成させた。しかし当時人気の絶頂にあったボウイの参加にもかかわらず、アルバムのセールスは不振に終わり、バンドはほどなくして解散した。本作は後に再評価が進み、現在では70年代最高のアルバムのひとつとされている。


Translation by Masaaki Yoshida

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