永久不滅のパンク・アルバム 人気ベスト10

2位 ザ・クラッシュ『ロンドン・コーリング』

『ロンドン・コーリング』の制作に着手した時点で、バンドは結成から4年目を迎えていたが、メンバーたちは既にパンクという枠組みを窮屈に感じていた。ロカビリー、レゲエ、スカ、R&Bなど、それぞれが異なる音楽的嗜好を持ち合わせていた4人は、そういった多様なバックグラウンドを反映させたアルバムを作るべきだと感じていた。ガイ・スティーヴンスをプロデューサーに起用し、結果として生まれた本作に収録された19曲は、それまでのバンドの音楽性とは大きく異なる。「バンド史上最も充実したレコーディングだった」ベーシストのポール・シムノンは、2013年のローリングストーン誌のインタビューでそう話している。「スタジオでのポジティブなムードは、ガイ・スティーヴンスの人柄による部分も大きかった。少しイカれてる面もあったけどね。彼は優れた指揮者のように、メンバーそれぞれの才能を見事に引き出したんだ」メンバーの多様な音楽的嗜好は後にバンドの絆に亀裂をもたらすが、そういった摩擦が生み出した本作は、時の経過とともに魅力を増していく、音楽史に名を残すマスターピースとなった。




1位 セックス・ピストルズ『勝手にしやがれ!!』


数多くの悲劇、過激な言動、メディアの過剰な加熱、そしてメンバーの死など、常にスキャンダルと共に語られるセックス・ピストルズだが、その真の魅力が彼らの音楽だったことは言うまでもない。1977年に発表されたバンド唯一のアルバム『勝手にしやがれ!!』は、音楽史に燦然と輝く金字塔だ。同作のレコーディング開始を前に、結成時のベーシストだったグレン・マトロックの代役としてシド・ヴィシャスが加入するものの、実際にはほとんど楽器が弾けなかったシドの代わりに、同作ではギタリストのスティーヴ・ジョーンズがベースを担当している。(マトロックは収録曲の多くをメンバーたちと共作している)「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」「アナーキー・イン・ザ・UK」「怒りの日」「さらばベルリンの陽」といった、ドラマーのポール・クックとジョーンズが作り上げたリフ主体の楽曲に、ジョニー・ロットンはバンドのアイデンティティを吹き込んでいった。解散以来、バンドとして新曲を作ることを頑なに拒否し続けているジョニーは、時代を超えて愛され続ける本作の魅力を誰よりも深く理解しているのかもしれない。

Translation by Masaaki Yoshida

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