DAOKOが挑むAR拡張現実ライブ 表現に新たな息吹を盛り込んだ一夜

当日の配信の開始前から、YouTubeチャンネルでのチャットには非常に多くの海外のファンからのコメントが寄せられていた。配信ライブとは、普段現場に足を運ぶことができない地域の人々にも場所を超えてコンテンツを提供できる、まさに新時代のエンターテイメントなのだとここで改めて気付かされる。番組が始まる頃には既に、Zepp Tokyoの収容キャパシティを超える人数が世界中から集まっており、新しい空間の広がりを感じる。

開催時刻の20時を少し回った頃、最新シングルの「おちゃらけたよ」のインストver.が流れ終わると、サウンドプロデューサー片寄明人とDAOKOのトークセッションから配信はスタート。『anima』は、前作アルバム『私的旅行』の制作時期から、彼女が自分でやりたいことを詰め込んだデモを作り始めたところからスタートしたという。インディー時代から一緒に作っていた作曲陣とも協力し、まさに彼女の原点回帰と言える作り方で作成されたアルバム。そんな収録12曲全ての解説をDAOKOと片寄明人が一曲一曲説明した。

アルバムトラックには、国内からはDAOKOのインディーズ時代のレーベル「LOW HIGH WHO?」所属で古い付き合いのDJ6月、相対性理論のギタリスト永井聖一、DAOKOのバックバンドのバンマスを務め、まさに今のサウンドのキーパーソンである網守将平、DAOKOも影響を受けたスチャダラパーなどが参加。そして、時折、天の声的に登場するDOMMUNEの宇川直宏が「(今回のDAOKOのアルバムは)世界の文化史を組み込んだようなアルバムだ」と語るとおり、海外からはインドネシアのビートメーカーpxzvc、マスタリングにはブルース・スプリングスティーンらの作品も手掛けたグレッグ・カルビーが参加するなど、海を越えて出来上がった作品となった。そんな彼らにトラックのイメージを伝えるにあたってDAOKOは、具体的な用語ではなく、先に頭に思い浮かんだ絵を作曲家に伝えたり、感覚を共有していく手段を必死に考えたという。リリックについても、「私は誰のことも憎みたくなくて、嫌だなあと思う人の感覚になれたら、その人の感覚も理解できるのに」、「自分には綺麗事が向いている」と考えていると語った。それに対して、「DAOKOが歌う綺麗事はすっと入ってくる」と評する片寄明人のやりとりから、彼女らの長い関係性が伺えると共に、DAOKOのリリックに掛ける想いを感じられる場面もあった。

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