DAOKOが挑むAR拡張現実ライブ 表現に新たな息吹を盛り込んだ一夜

少しの転換の間を置いて、バンドセットでのライブが始まる。クラブのように赤く点滅するステージの中でダンサブルなイントロが鳴り響くと、最新アルバムにも収録されているシングル曲「御伽の街」がスタート。ハウス調の軽やかな曲にのって自分のテンションにエンジンをかけていく彼女と共に、現代アート的なイラストや漢字などで彩られた同曲のMVの演出と同じギミックが、気持ちの良いテンポでARとして投影されていく。曲の世界観を如実に完成させたMVがリアルタイムで我々の目で体現されている中、サウンド面では臨場感溢れるバンド演奏と彼女のラップの勢いが相まっていき、思わず画面越しでも身体が揺れてしまう。視覚と聴覚の両方の情報が、彼女のインディー時代を彷彿させる内省的なリリックの世界観を体現していった。



続いて、メロウなナンバーにDAOKOのキュートかつ切ない歌声のバランスが小気味良い「おちゃらけたよ」、イントロのギターが官能的な最新アルバム曲「Sorry Sorry」を続けて披露。「おちゃらけたよ」のウィスパー気味な歌い方をするDAOKOの歌い方は、息継ぎさえもかっちりとリズムにハマってパーカッシブであり、息の漏れ方までも曲の全体の浮遊感を作り上げる大事な要素となっていた。また、「Sorry Sorry」では、アーバンな曲調に乗ったDAOKOの現代の若者の心情を描いたリリックが、微熱を帯びた彼女の歌い方で切なく伝わってくる。曲のアウトロに向けて徐々にバンドの演奏も熱を帯びていったところで、ふっと途切れる終わり方が余韻を残した。更に続けて、「ストロベリームーン」が始まる。様々な色が混ざり合っていくVJが、失恋でぐちゃぐちゃになった歌詞の世界を示すようであり、幻想的でもあった。Bメロから感情を昂らせていき、サビでしっかりと声を張り上げて歌い上げる。ラッパーとしてだけでなく、シンガーとしてもどんどん成長している彼女の姿が垣間見えた。



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