ペンス米副大統領が「Black Lives Matter」を決して口にしない理由

CBSニュースのジョン・ディッカーソンとマイク・ペンス副大統領(CBSNews/Screencap)

この数週間で2度目だ。マイク・ペンス米副大統領はBlack Lives Matterというフレーズを口にするのを拒んだ。今回はその理由として公民権運動のシンボルであるマーティン・ルーサー・キング・Jr.牧師を引き合いに出し、キング牧師の言葉とレガシーをこじつけて、発言拒否を正当化した。

現地時間6月28日、CBSニュースの番組『Face the Nation』のジョン・ディッカーソン氏はペンス副大統領に「黒人の命は大事だ(Black Lives Matter)」と発言しない理由を尋ねた。

「抗議デモ参加者は、指導者の口から『黒人の命は大事だ』という言葉が出てくるのを聞きたがっています。あなたは決して言おうとしませんね。なぜですか?」とディッカーソン氏。

するとペンス副大統領は、抗議デモは暴力を訴える活動だという根拠のない見解と紐づけようと試み、副大統領である自分は平和を訴えたこれまでの活動家を心から信奉しているがゆえに、口にすることが憚られるのだと述べた。

【動画】副大統領は「Black Lives Matter運動が訴えているのは暴力だ」と発言

「私は生涯ずっとマーティン・ルーサー・キング・Jr.牧師を鏡としてきました。議員時代には同僚のジョン・ルイス議員とともに、アラバマ州モンゴメリーにある牧師の教会を訪れました。血の日曜日事件(デモ行進の参加者を警察が襲撃した事件)があった日には、エドモンド・ペタス橋を渡りました」とペンス副大統領は言った。「アフリカ系アメリカ人のより完全な統合を目指して、これまでに我が国が成し遂げた進歩を私は大切にしています。現在も進行しているこうした偉業の一端を担うべく、政治家としてのキャリアを通じて精進してまいりました。私にとっては何よりも大事な課題です」

さらにペンス大統領は、「黒人の命は大事」と口にしないもうひとつの理由として、中絶反対の姿勢を持ち出した。

「妊娠中絶反対のアメリカ人として、生まれてきた命もこれから生まれる命も、すべての命が大事だと信じています」

その後も副大統領は、平等を掲げ、人種差別的な警察の暴力行為撲滅に向けた変化を呼びかける活動を攻撃し続けた。

「Black Lives Matter運動のリーダーたちからは、警察への予算削減を呼びかける極左的な政治的意図を感じます。彼らは銅像を取り壊し、極左的な政綱を押し付け、まさに自分たちが守ろうとしているコミュニティを苦しませるような暴力を支持しています」

ペンス副大統領が延々と話し続ける中、ディッカーソン氏は2度口を挟もうと試み、最後にようやくこう尋ねた。「やはり『黒人の命が大事』とは言わないのですね?」

これに対するペンス副大統領の答えは「ジョン、私はすべての命が大事だと固く信じていますよ」だった。

Translated by Akiko Kato

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