パノラマパナマタウン、洋楽ロックへオマージュ捧げた3曲の制作秘話



岩渕:今回シーズン2最終回です。4週間前に俺が持ってきたデモ4曲から3曲をアレンジしてきて、今回完成です。浪越はだいぶミックスで手こずったんじゃない?

浪越:手こずったな、3曲もあるとやっぱり時間かかったな。

岩渕:今回はボーカルも入れていて、歌詞もFIXしてるのでそこも聴いてみてね。早速「Chameleon Man」から聴いてみようか。この曲を最初デモで持ってきたときは、オアシスを意識してというか。コードも少なめでオアシスっぽくってやっていこうと思っていたんだけど、そこからBメロも増やしたり軽やかな感じになるようなアレンジもしてね。持ってきた時よりは大きな曲になったって感じがするよね。歌詞のテーマとしては、色々なものへの憧れて、真似とかもしちゃうけど、結局自分ってなんなんだって虚しくなる瞬間があって、それをカメレオンマンに例えて曲にしました。

浪越:サビの最後の「大人になれないや」のところ、めっちゃ好きやな。この曲はフルで聴きたいよね。こういう曲ってフルで作るとめっちゃいいやろうからなあ。コメント見ると、「めっちゃ岩渕さんって感じ」って言ってる人がおるんやけど、僕もそう思うんよね。岩渕の等身大というか、カメレオンって歌ってて歌詞もそういう曲やけど、全然カメレオン的じゃなくてね。

岩渕:素直すぎて、ちょっと恥ずかしいところもあるもん。次もいきましょう、「Rocket」。

タノ:「Rocket」、もうちょい聴きたくなるな。

岩渕:そうやなあ。「Rocket」めっちゃ好きやわ。

浪越:めっちゃ化けたな。

岩渕:さっきの「Chameleon Man」はデモより大きくしていったけど、今回はどんどんミニマムにしてったというか。色々なものを削っていった。持ってきたときはザ・ストロークスのオマージュを意識していたし、浪越のギターもミックスもザ・ストロークスっぽいアレンジでね。ザ・ストロークスって少ない音数でかっこいいバンドだから、そういうのを俺らが目指して作っていって。最終的には上手くいったなって満足していますね。

浪越:この曲はミックスが一瞬で上手くいったな。シンプルにできた。これ歌のレコーディングは拘ったところがあるんじゃないですか?

岩渕:コメントとかでも言ってくれているけど、気怠い感じというか。芯を食ってない感じで「新宿」、「夜」っていうワードも入れたけど、まさに新宿の夜をフラフラしながら歌っている感じで歌って。昔のパノパマでやっていたようなアプローチだけど、喉が治ったし歌もいろいろ歌えることができた中で、もう一回そのアプローチやってみようかなという感じですね。「Rocket」の歌詞は、ずっと夜まで遊んでいて、なんかここに残ってなんかしたいけど、このバーも行き飽きたし、居酒屋でもない。公園で飲むのも違うし、映画も観たいものがない、だけどなんか一緒にいたいっていう時が僕はあるんです。そういう時にロケットみたいなもので、突拍子もなくどこかに行ければなっていう想いを歌にしていますね。なんかやりきれない感じ。

浪越:この曲は歌詞が抽象的なところもあるから、いろいろと知りたいな。朝は三回目の約束とかあるやんか、あれもどういうことなんやろって思う。

岩渕:ぜひ何回も聴いて欲しいな。次の曲いこう、投票4位だった「SO YOUNG」。

浪越:いやあ、いいですね。

岩渕:いいYOUNGやな。これが一番デモから進化したというか、俺のデモになかったものがめちゃめちゃあるもんな。ライブで「SO YOUNG」って言いながら跳ねる瞬間とかええやろな。

浪越:これは結構いいな。ライブのこととかも想像しちゃう。

岩渕:皆でドラムセットのところに集まって向き合って、後ろからオレンジのライトが当たって、リフが鳴って。シルエットが浮かび上がって、浪越のギターがジャーンって鳴って、影が伸びてみたいなのが想像できるもんな。

浪越:歌詞の「夕暮れの街のサリンジャー」が好きってコメントしてる人がおるな。

タノ:そこが一番ガツーンと入ってくる。

浪越:僕も「夕暮れの街のサリンジャー」っていう意味はよく分かってないけど好きやな。

岩渕:俺も正直よくわからんけど(笑)。少年の曲やけ、若さを感じるものをいっぱい入れようと思って。サリンジャーって俺の中では青春文学の一つで、サリンジャーに出てくる若い人の葛藤みたいなものを歌にしようって思ってた。この曲は色々な声が入っているから、浪越もミックス大変だったんじゃない?

浪越:これは大変だったけど、なかなかいいバランスに仕上がったと思っています。

岩渕:これ最初ミックス上がってきた時に、こんなまとまってカッコよくなるんやって思ったもん。これ、若い時に衝撃受けた瞬間を歌ってて。音楽を聴いてやってみたいと思うけど、全然自分は身体が追いつかなくてできないとかさ。やってみたいけど未熟で全然できんけどいこうぜっていう曲なんだけど。Bメロで「何億光年も先から風が吹いたんだきっと」っていうのは、andymoriの「革命」って曲があって。その曲で、かなり遠くからでもずっと風を吹かせてれば、いつか誰かのところに届くよって歌っててさ。俺が最初にバンドでコピーした曲が「革命」だから、最初にギターを持った瞬間の声が届いて、弾き始めたっていうのを歌ってる。

タノ:確かに100日1000日繰り返したっていうフィーリングがね。

岩渕:これやりたいと思うけど、なかなか技術が追い付かないとかさ。これやってみたいけど、今の俺じゃできないっていうヤング感とかね。

タノ:俺ら今でもあるもんな。だから今でもやり甲斐や。

岩渕:そういう気持ちを持ってる人は皆「SO YOUNG」ってことやな。まあでも3曲アレンジ終わりましたね。お疲れ様でした。来週からまた新曲やります、よろしくお願いします。

Rolling Stone Japan 編集部

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