1964年の人種差別、2020年以降の展望ービートルズが最初に渡米した時、さまざまなことを経験しましたね。当時アメリカで行われていた人種差別とか。リンゴ:一度(1964年、フロリダ州ジャクソンヴィルの)コンサートでは、黒人と白人を分離して(実施する手筈になって)いた。どうにも理解できなかった。なにしろ俺たちの憧れの存在の大半は、アフリカ系アメリカ人のアーティストやシンガーだったんだから。それで俺たちは「演奏しません」と言った。そしたら、道路占拠もなかろうということで、向こうも(分離しないで)演奏することをOKしてくれた。俺たちのお手柄になったわけだが、理由はただ、大勢の黒人ミュージシャンたちが俺たちのヒーローだったからさ。とにかく間違っていると感じた。
【関連記事】ポール・マッカートニー、人種差別抗議を支持「黙っているという選択肢はない」ーまもなく公開されるピーター・ジャクソン監督のビートルズ映画をご覧になった感想はいかがですか?リンゴ:俺が見たのはほんのさわりだけだ。でも、そのさわりが素晴らしい出来でね。オリジナルの映像は、そうだな12分かそこら。それを彼は45分にした。たいしたもんだよ。マイケル・リンゼイ=ホッグのドキュメンタリーはちっとも面白くなかった。彼は1つの場面だけ取り上げて、あとは全部無視した。彼本人が出ているシーンも多かった。今回は56分の未使用映像が見つかって、ありがたいことにピーターが企画に参加すると言ってくれた。もちろん今は作業も止まった状態だ。年内には公開されるはずだが、はっきりとは決まっていない。彼はLAに来ると俺のところに立ち寄るんだ。ラップトップ持参でね。それで新しいアイデアとかストーリーを見せてくれる。そりゃもう楽しくて、いつも2人で大笑いさ。ドキュメンタリー制作中は他にもいろんな人たちが訪ねてくる。いつも笑いがあふれていて、みんな仲がいい。参加してくれたピーターには感謝しなくちゃ。彼もユーモアのセンスが抜群でね。試写として見せてもらったのはさわりだけど、本当に、本当に素晴らしい出来だ。完成したらきっと残りも最高だと思う。
ー昨年7月にはポール・マッカートニーとステージに上がって「ヘルター・スケルター」を演奏しましたね。レコーディング以来、これまであの曲を演奏したことはありましたか?リンゴ:いや、ないね。(パフォーマンスの前に)1度だけ聞き直したけど、なぜまたこの曲だったんだろう? ポールと演奏するのは大好きだ。素晴らしいミュージシャンだしね。彼はLA滞在中、俺がレコーディングしていたら必ず1曲参加してくれる。世界最高の、誰よりもメロディアスなベースを弾く男が、今も俺のために手を貸してくれるんだ。しかも、俺の望み通りの仕事をしてくれる。でも、気づけばもう40年間もずっとこんなことを言ってきた。いまだに同じことを言い続けているとは!
ー最後に、「グッド・ナイト」を振り返ることはありますか? この曲についてあなたが語るのを聞いたことがないものですから。リンゴ:それはバンドのせいだな。俺も昔はロックシンガーだったんだが、俺に歌わせるのはいつもああいうおセンチな曲だった。バンドが俺のキャリアを台無しにしちまった!
ーあらためて、お誕生日おめでとうございます。リンゴ:ありがとう。皆さんに平和と愛がありますように。