家具に子どもを閉じ込め人身売買? 米国発の陰謀論「Wayfairゲート」が拡散中

陰謀論はプラットフォームを横断して拡散していく

だがこうした動きも、Wayfairのネタを投稿し続ける筋金入りの偏執的なネットユーザーを満足させるには至らず、噂はTwitterからInstagramへ、さらに以前から陰謀論をあおる拡散コンテンツの温床として非難を受けているTikTokへと急速に広まった。同プラットフォームは大量の動画を削除しているものの、Media Mattersによれば、同アプリには現時点までに「#wayfairconspiracy」というハッシュタグが250万回以上、#wayfairgateは83万600回以上も閲覧されている。

中にはどういうわけか、故エプスタイン被告の調達係をしていたと言われるギレーヌ・マックスウェル被告が陰謀に一枚絡んでいると主張するものもある。Wayfairの運営部長と一緒に写真に写っているのが動かぬ証拠だというのだ(実際に写っているのはWayfairの運営部長ではない)。

【画像】ジョンベネちゃん殺害事件と性的虐待のエプスタイン元被告、陰謀論が生んだ接点

6万1000回閲覧された動画では、若い女性が「この事件に注目するべき」というキャプション付きで陰謀論を要約している。この女性は動画の中で「みんな、何かが変よ」と言っている。4万2000回以上閲覧された別の動画では、Wayfairに投稿されていた2万6000ドルのユニットソファと、別のサイトに掲載されていた類似のカウチ819ドルとを比較している。「これを説明できる人いる? いたら教えてちょうだい」と、ユーザーは動画の中で皮肉たっぷりに言っている。

4月に誤情報を通報する機能をアプリに搭載したにもかかわらず(記事掲載時点でコメント取材依頼に対する返答はない)、TikTokが誤情報の温床となっているという疑惑は今回が初めてではない。以前ローリングストーン誌が報じたように、TikTokにはCOVID-19パンデミック関連の多種多様な陰謀論がはびこってる。「この手のオンラインコンテンツやスピード感が、感覚に訴える陰謀論に手を貸していることに対し、多方面から懸念の声が上がっています」。メディア研究を専門とするモナシュ大学のマーク・アンドレジェヴィク教授は、以前ローリングストーン誌にこう語った。「陰謀論は、じっくり考えて検証するようなタイプのものではない。筋が通りませんからね。純粋に感情に訴えるものなんです。つまり、素早くヒットして拡散できるプラットフォームに流れていくんです」

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE