ビートルズ来日騒動、週刊誌が報じた「トンデモ記事」と誤解だらけのイメージ

以下は滞日中の出来事を報じた記事見出し。これまたド派手で、下世話だ。

『ビートルズ・ファンの最高と最低 空港、ホテル、武道館にむらがった弁解無用の女たち』(『女性自身』7月11日号)

『私はビートルズの覆面護衛官だった キモノ・ガールを求めた四人の紳士の東京の夜』(『週刊現代』7月14日号)

『もういやだ、日本になんかいたくない! 芸者とのスキャンダルの中で、四人のうちのだれが一人だけ清潔だったか?』(『週刊女性』7月16日号)

『ビートルズと2日間をともにすごした日本女性がはじめて打ち明けてくれた愛のプライバシー…… ポール! わたしと見た東京の朝やけを忘れないで……』(『女性セブン』7月20日号)

『贈呈された日本女性4人の告白 ビートルズ帰国前夜までの“国辱的奉仕”のすべて』(『アサヒ芸能』7月17日号)


『女性自身』1966年7月11日号より引用

おいおい本当かよ、と突っ込みを入れたくなるが、すべて彼らが去った後の週刊誌に実際に掲載されていたものだ。いずれもゲスな心を揺さぶられ、どんな内容かつい読みたくなってしまう。これは、ネット回遊者をトップコピーで捕まえ、フックで引きずり込むというWEBライティングに相通じるものがある(というか、同一だ)。ツールこそ違えど、やっていることは今も昔も変わらない。

参考までに、これら気になる記事の内容をザッとご紹介。

『ビートルズ・ファンの最高と最低』は、滞日中の追っかけファンに関する特集。徹頭徹尾ビートルズ・ファンを見下したものだ。また、ラフな服装でライヴを観に来ている客に対し、識者が《ビートルズの公演初日には、男はタキシード、女はカクテルドレスか訪問着を着てゆくのが礼儀というものです。(略)それにもかかわらず、ごらんなさい、この服装を!》と、すさまじいアナクロ感覚でひとりブチ切れている一節も。そこには、ロック・コンサートというものが全く根付いていない日本の姿が克明に記録されている。

『私はビートルズの覆面護衛官だった』は、宿泊先のホテルに潜入させたスパイ記者によるレポート。ビートルズの泊まった東京ヒルトンホテルは10階の全フロア貸し切りで、通行証を持った者以外誰も上がることが出来なかった。だが何としても記事を取りたい編集部は、担当の警備会社が臨時職員を募集していることに着目。記者を応募させ、まんまと潜入に成功。勤務中にネタを仕入れ、休み時間に部屋で原稿を書いていたという今ではあり得ない企画だ。

『もういやだ、日本になんかいたくない!』は、彼らのホテル室内のレポート。前述の通りホテルの10階は貸し切りで、外部の人間の出入りは封じられていたのだが、一方でメンバーも外出を許可されずカンヅメだった。そんな彼らの様子について、関係者のリーク情報を元に構成したものである。“芸者とのスキャンダル”というのは、退屈する彼らに主催者が派遣した芸者のこと。7人の芸者のうち4人はすぐに帰ったものの、3人は残ったと報じている。『(メンバー4人のうち)だれが一人だけ清潔だったか』というのは、それを指したものだ。

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