史上最高のベーシスト50選

6位 ジャック・ブルース

David Redfern/Redferns/Getty Images

クリームにおいてはエリック・クラプトンとジンジャー・ベイカーが注目されがちだが、ジャック・ブルースはトリオの強靭なアンサンブルに欠かせない存在だった。クラプトンがそびえるようなブルージーなラインを弾き、ベイカーがジャズドラムの定義を押し広げるようなパターンを繰り出す中、バンドのリードヴォーカリストでもあったブルースは、絶えず動き続けているように感じられるヘヴィーなベースラインでアンサンブルを束ねた。「ステージにおけるベースプレイヤーの役割について、俺はジャック・ブルースから多くを学んだ」ブラック・サバスのベーシストであるギーザー・バトラーはそう語っている。「クラプトンが観たくてクリームのライブに行ったんだけど、何より衝撃的だったのはジャック・ブルースのプレイだった。リズムギターの不在を埋めるような、あんなベースプレイは観たことがなかった」。3人全員が歌う「アイ・フィール・フリー」や、見事なハーモニーを聴かせる「サンシャイン・ラヴ」における大地を揺るがすようなベースライン、そして「ストレンジ・ブルー」でクラプトンのフレーズと絡み合うかのようなリフはブルースの真骨頂だ。「小柄な体からは想像できないくらい、ブルースのプレイには迫力があった」後にブルースと共演するマウンテンのギタリスト、レスリー・ウエストはそう話している。「彼のベースは雄叫びを上げるようでありながら、どんな時もメロディックであることを忘れなかった」




5位 キャロル・ケイ

Jasper Dailey/Michael Ochs Archives/Getty Images

50年代にジャズクラブで技術を磨き、サム・クック等のヒットメイカーたちが信頼を寄せるセッションプレイヤーとなったケイは、これまでに1万曲以上でベースを弾いており、史上最も多くのセッションに参加したベーシストとして認知されている。ビーチ・ボーイズが1965年に発表した陽気にスイングする「ヘルプ・ミー・ロンダ」、リッチー・ヴァレンスによる1958年発表の不動のクラシック「ラ・バンバ」、フランク&ナンシーのシナトラ夫妻が1967年に歌った「恋のひとこと」のロマンチックなカバーまで、ケイはポピュラー音楽史のいたるところに足跡を残している。映画やTV番組のサウンドトラックへの参加も数知れず、『バットマン』や『ミッション・インポッシブル』等の主題歌にも彼女ならではのグルーヴを吹き込んでいる。「私はギタリストだったんだけど、『これはむしろシンプルなベースラインかも』ってよく思ってたの」彼女はプレイヤーとしての直感について、For Bass Player Onlyにそう語っている。「ベースがもっと躍動すれば、曲がもっと魅力的になると感じてた」。彼女が共演したスターの数々もケイに同意する。「彼はミックスにおいて、私のベースの音をすごく上げてた」ブライアン・ウィルソンについて、彼女は2011年にそう語っている。「『カリフォルニア・ガールズ』なんかでは、ベースしか聴こえない位の箇所もあるわね。フレットボードを行き来する私のスタイルとサウンドを、彼はすごく気に入ってくれてたの」




4位 ブーツィー・コリンズ

Fin Costello/Redferns/Getty Images

ブーツィラ、キャスパー(『出てこいキャスパー』のキャラクター)、世界でただひとつのラインストーン製ロックスター人形Baba等、曲によって呼び名が異なるブーツィー・コリンズは、70年代のソウルとファンクにおけるベースの定義を刷新し、80年代と90年代のラップやポップに大きな影響を与えた。1970年にジェームス・ブラウンのバックバンド、JBズに加入したコリンズは、『Soul Brother No. 1』の「The One」のコンセプトに基づき、冒頭の音をできる限りのパワーを持って鳴らし、それ以外の部分をファンクネスで埋め尽くした。ジョージ・クリントン率いるパーラメントとファンカデリックでは、粘り気のあるワウベースでトリッピーな世界観を強調した。その後はブーツィーズ・ラバーバンドのフロントマンとしてスポットライトを浴び、星型のサングラスをかけて星の形をしたベースを弾き、漫画のような仰々しさでアニメ風のラブソングを歌った。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーから、Gファンクサウンドを確立したドクター・ドレーがサンプリングしたレコードの数々まで、彼のスタイルは以降のあらゆるベーシストとシーンに大きな影響を与えた。「拍の頭の鳴らし方、ブーツィの魅力はそれに尽きる」ジョージ・クリントンはそう語っている。「あいつがあれをやれば、『ABCの歌』だって一瞬でファンクになる。俺たちがどれだけポップになろうとしても、あいつがいる限り何をやっても超ファンキーになるんだ」



Translated by Masaaki Yoshida

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