圧倒的なパワーが魅力、型にとらわれないアーティスト「MADSAKI」

「何やってんの?って自分で自分を突っ込んだりできないと、たぶん誰も感じないだろうと思う」

ー今、このスタジオにある時計シリーズの作品は?

MADSAKI:カイカイキキに入ってから、締め切りが多くて、時間に追われてるから、今は時計しか見てないのね。去年の2月に時計が壊れて、SEIKO 5の安い腕時計を買ったんだけど、やっぱり壁時計が欲しいなってなって。それで金のロレックスを描いたら、時計好きの周りの人たちがスゴい食いついてきて。「時計を描けば?」って言われて。時計はずっと好きで、いつもYouTubeでは時計と陰謀論しか観てないくらいだから(笑)。だけど、ロレックスは持ってない。描いてたら満たされちゃって、欲しいとは思わないから(笑)。

ー最新の作品は?

MADSAKI:7月にカイカイキキギャラリーでやる個展では、アメリカのTVでやってたアニメ『ヒーマン』を作品にしてる。去年のCOMPLEXCONに向けて、隆さんが「アメリカのコミックを描いてよ」って言うから、たぶんバットマンとかスパイダーマンをイメージしてたんだろうけど、そんなの描かないよ、『ヒーマン』だよと思って。『ヒーマン』は学校から帰ってきていつも観てたアニメだから。それでCOMPLEXCONで『ヒーマン』の絵を出したら、『ヒーマン』を作ってるMattel社から二人来ちゃって。スゴい真顔で「これ誰が描いたの?」って言うから、訴えられるのかなと思って。「いやあ、誰なんですかね」ってとぼけてたら、「スゴくいい」って言うの。それで、「あ、僕です!」って言って(笑)。「コラボしませんか?」って、名刺をくれて。12月にはMattel社でミーティングをして、今年の7月に個展を『ヒーマン』だけでやることになったの。

ーいろいろな作風やテーマがある中で、一番大切にしていることは?

MADSAKI:やっぱりユーモアだと思う。自分が描いてて笑ったりとか、何やってんの?って自分で自分を突っ込んだりできないと、たぶん誰も感じないだろうと思う。カイカイキキに入る前、いろんな絵をやってみたんだけど、それでわかったんだよね。自分が病んで描いてるんじゃなく、自分が楽しんで、ちゃんと自分の中から出たものじゃないと、伝わらないなって。本当に自分が笑ってしまうものじゃないとダメだと思う。そこのツボを一人でもわかってくれたらうれしいね。ネズミ年の絵にしても、あれは年賀状なんだけど、ミッキーマウスを初期のミッキーマウスにしてるし、RATをバンドの「RATT」にしてるのも、やっぱりそこはいじりたくなるからだし(笑)。音楽の方でも何か描きたいんだよね。アルバム・ジャケットも描きたいし、マーシャル・アンプとかも描きたい。27歳で死んだミュージシャン・シリーズもいいなあ(笑)。

ー野望はありますか?

MADSAKI:名画の本物が置いてある美術館で、今まで描いた名画シリーズの回顧展をやりたい(笑)。でも、こういうことを言うと本当に実現するから、怖いんだよね。自分が出たいと言ってたオークションにしても全部制覇しちゃったし、隆さんに会いたいなと思ってたら会えてしまったし。俺の夢は絵を描いて生活することだったんだけど、それは今、隆さんのおかげでできてる。じゃあその次のステップは?ってなると、自分の今までの歴史とか、自分が今まで感じてきたものを絵にして、伝えていくことなのかなって思う。

Editor by Toshiya Ohno

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