吉田拓郎と井上陽水、1970年代のライブアルバムを振り返る



1973年7月に発売になりました井上陽水さんのライブアルバム『陽水ライヴ もどり道』から「紙飛行機」です。どこに辿り着くのかわからない、漂っている儚い感じが、この1970年代初めの若者の共通の心情だったんだなと改めて思ってます。このライブは、1973年4月17日に今は無き新宿・東京厚生年金ホールの小ホールで収録されたんですね。陽水さんは、1972年3月のシングル『人生が二度あれば』でデビューしてます。アルバムは1972年5月の『断絶』がデビューアルバムです。その中に収録されていた「傘がない」がシングルカットされて、1972年12月にアルバム『陽水II センチメンタル』が出るんですね。このアルバムがじわじわ売れ始めて、シングル『夢の中へ』が決定打になって陽水ブームが起きる。

陽水さんは、1969年にアンドレ・カンドレという芸名でのデビューもあったんですが、そこで結果が出せず、この『陽水ライヴ もどり道』まで3年経っているんですね。この『陽水ライヴ もどり道』というタイトルは陽水さんが付けたものだと聞いた事があります。陽水さんは元々ライブから入った人じゃないわけですね、フォークルとビートルズに影響されて音楽を始めた、多重録音・宅録の人だったんです。ですから、自分がじわじわ売れ始めた中で、ライブアルバムという形でどこまで歌をライブとして残せるか? という課題を課したのがこのアルバムでしたね。この中では、自分のデビューシングルの話もしております。

Rolling Stone Japan 編集部

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