関係者が今こそ明かす、ワン・ダイレクションが21世紀最大のボーイズバンドになった理由

2012年9月20日、ロンドンのRoundhouseのステージにて(Photo by Jo Hale/Redferns/Getty Images)

ワン・ダイレクション結成10周年に寄せて、コラボレーターのサヴァン・コテチャ、カール・フォーク、ジュリアン・ブネッタ、ジョン・ライアンがグループの思い出とサウンドを振り返る。

トイレはワン・ダイレクションの少なくとも2つの代表作の誕生に深くかかわっている。ひとつめはファンの皆さんならご存じだろう。作曲家兼プロデューサーのサヴァン・コテチャがロンドンのホテルのトイレに座っていると、「今日の私、ブスだわ」と言う妻の声が聞こえてきた。このとき彼の頭に浮かんだ言葉が、のちに歴史に名を遺すワン・ダイレクションの2011年のデビュー曲「ホワット・メイクス・ユー・ビューティフル」のコーラスになった。



2つめはその数年後、イングランドの別のホテル――今度はマンチェスター――での出来事だ。作曲家兼プロデューサーのジュリアン・ブネッタとジョン・ライアンは、キューカンバー・コリンズをあおりながらリズムを打ち込んでいた。メンバーのリアム・ペインも同じ部屋にいた。途中でリアムがトイレに席を立ち、メロディを口ずさみながら戻ってきた。2人はとっさに録音した。ほとんどは意味をなさないつぶやき――いわゆる仮歌――だったが、ひとつだけ「Better than words」というフレーズがあった。数時間後、バスに揺られて次の公演地へ向かう途中――具体的な場所はブネッタもライアンも覚えていないが――リアムが、おそらく笑いながらこう尋ねた。「さっきの曲の残りを、全部他の曲の歌詞にしたらどうかな?」

「一般的に曲作りっていうのは、頭にアイデアがひらめくのをただじっと待っているようなものなんだ」ブネッタとともにロサンゼルスのスタジオから取材に答えたライアンはこう言った。「そして受け流しては笑い飛ばす――僕らも確かこんな冗談を言ったっけ。『(そのあとは)More than a feelingってか? ほう、結構いいかもな!』」

「Better Than Words」はワン・ダイレクションのサードアルバム『ミッドナイト・メモリーズ』のトリを飾る曲。シングルカットされたことはないが、ライブには欠かせないファンお気に入りの1曲となった。ミッドテンポのノリのいい曲は、ワン・ダイレクションらしさを、そして彼らが21世紀を代表するグループの1つだったという事実をみごとに表している。


Translated by Akiko Kato

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