生涯の一枚、松任谷由実と山下達郎のライブ盤を振り返る

このアルバムの話もしていこうと思うのですが、このお二方は音楽的に近いというものはどなたでも納得していただけるかと思います。時代的にも本当に重なっているんですね。ユーミンのデビューというのが1972年7月のシングル『返事はいらない』、アルバムは1973年11月の『ひこうき雲』ですね。達郎さんが参加していたバンドのシュガー・ベイブは1973年に結成、その前に達郎さんが自主制作盤を作ったのが1972年、シュガー・ベイブの解散が1976年なんです。ユーミンが結婚して、荒井由実ら松任谷由実へと名前が変わったのは1976年で、重なっている。ユーミンの2枚目のアルバム『MISSLIM』にはシュガー・ベイブがコーラスで参加しております。『MISSLIM』から『COBALT HOUR』、『14番目の月』のコーラスアレンジは達郎さんなんです。ファンの方はご存知かと思いますが、シュガー・ベイブにはレコード化されなかった「ユーミン」という曲もあるんです。彼らのライブには、よくユーミンがゲスト出演しておりました。共通点はもう一つあります。ライブ盤が少ないんですね。ユーミン1986年のツアー「DA・DI・DA」、そして今日の荒井由実コンサートの二枚だけです。達郎さんも1978年の『IT’S A POPPIN’ TIME』と1989年の『JOY』の二枚だけです。J-POPのスーパーレジェンドの2人の曲をライブ盤で聴いてみよう、あの時代をちょっと味わってみようというのが今週の趣旨です。題して、"永遠のライブ盤"。まずは達郎さんの曲をお聴きいただきます。1989年発売の『JOY』より、「LAST STEP」。

LAST STEP / 山下達郎

山下達郎の1976年の1stアルバム『CIRCUS TOWN』より「LAST STEP」。作詞が吉田美奈子さん、作曲が山下達郎さんですね。1976年に発売になった吉田美奈子さんのアルバム『FLAPPER』のために書いた曲ですね。シュガー・ベイブ時代にも演奏されておりました。シュガー・ベイブを初めて観たのが、1975年1月24日の新宿・厚生年金会館小ホール、2ndコンサートだったんですね。そして、最後の荻窪ロフトでの解散コンサート、1976年3月31日と4月1日。僕は4月1日に観たのですが、こちらでも「LAST STEP」をやられていましたね。あの日、解散コンサートでどんな曲をやったのかっていうのは実は覚えていなかったんです。ライブの雰囲気とかお客さんがカウンターの中まで入っていたのは景色として覚えているんですが、曲順とかが今なら分かるんですね。インターネットすごいですよ。この解散コンサートで「LAST STEP」を披露しておりました。

Rolling Stone Japan 編集部

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