生涯の一枚、松任谷由実と山下達郎のライブ盤を振り返る



「J-POP LEGEND FORUM」ライブ盤特集9週目、生涯の一枚、永遠のライブ盤。ご紹介したのは、1989年に発売になった、山下達郎さんのライブアルバム『JOY』、松任谷由実さん、荒井由実さんとしてのライブアルバム『Yumi Arai The Concert with old Friends』。流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。

1972年から1976年の荒井由実さんと山下達郎さん、年齢は達郎さんが一つ上ですが、キャリアはユーミンの方がちょっと長いので、ユーミンは山下くんと呼びますね。そして、この10年、21世紀になってから最も多くライブをしているのがこの2人でしょうね。達郎さんは10年ぶりのツアーだった2008年以降、ほぼ毎年ツアーやっていて、しかもホールしかやらない。未だにアリーナとかドームでは絶対やらないという徹底した職人魂は素晴らしいですね。そしてユーミンはライブの視覚化の革命ですね。エンタメとしてどこまで規模を大きくできるか、近代化できるかというのをずっと追求してきた。そういう意味でも、日本の音楽史を支えてきた2人であります。

こうやって2ヶ月間ライブ盤をずっと聴いてきたわけですが、多少心残りがあるんです。組み合わせっていうやり方がよかったのかな? アルバム1枚で1時間でも充分もったのに、と思ったりもするんですが、組み合わせだったから、こういう2人がいたという紹介ができたと自分を納得させております。ライブというのはあの日、あの時そこにいたという記憶でもあります。ユーミンが良いことを言っていましたね。「思い出っていうのはそんなに遠くにあるわけじゃない。すぐ隣にある」ライブ盤というのはそういう物です。映像はもちろんあるんですが、記憶に残っているという意味では音じゃないでしょうか。音が蘇らせてくる物、音を通して改めて思い出すこと。ライブ盤というのはそういうアルバムだと思います。この振り返りシリーズ、アルバム4枚の写真をもってきました。これは本邦初公開です。僕はコレクターでもないのでそういう自慢はしませんが、この流れは僕の歴史でもありましたという意味でもご覧いただけたらと思います。でも、この振り返りモードがこのまま終わりそうもない感じもしてるので、来月はどこにいくんだろう? と思っております。


山下達郎『JOY』(左)、松任谷由実(荒井由実)『Yumi Arai The Concert with Old Friends』(右)を手にした田家秀樹


田家秀樹さん所有のアマチュア時代の山下達郎の自主制作盤とSUGAR BABE『SONGS』、ユーミンのサイン入り『ひこうき雲』、『ミスリム』のオリジナル・レコード



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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