AAAMYYYが語る、楽器とサウンドメイキング

ギターやベースとは違うキーボードに抱く愛着感

ーところで、今年2月にリリースされたTempalayの新曲「大東京万博」ですが、これはどのように作っていったのですか?

AAAMYYY 最初に(小原)綾斗がデモを持ってきて、それをもとにみんなで構成を考えてから肉付けをしていきました。例えば転調だとか、尺を伸ばしたりなどのアイデアを出すことが私は多いですね。今回、綾斗が持ってきた民族音楽っぽいイントロのフレーズを、曲の中で引き立たせるにはどんな音色がグッとくるのか試行錯誤したり。あとは、もともとシンセソロで入れようと思っていたフレーズを、ギターソロのアタマにもってきたりもしました。



ー「大東京万博」は元々「AKIRA」という仮タイトルが付けられていたそうですが、最初にこの曲を聴いた時にAAAMYYYさんはどんな印象を受けましたか?

AAAMYYY  まずカッコいいなと。それはデモが送られてくるといつも思うことなんですけど、この曲には綾斗が育ってきた背景や、親しんできたアートなどの要素が入りつつ心象風景が投影されていて、聴いていてちょっと切なくなりましたね。その切ない叙情的な雰囲気が、背景を知らずに聴く人にもちゃんと伝わるようにするためには、どんなアレンジにしたらいいかたくさん考えました。

ーこの曲、個人的にはゴダイゴを聴いた時の衝撃を思い出したんです。それと、ちょっとASMR的な要素もあるなと。

AAAMYYY  ゴダイゴはメンバー全員大好きなので、彼らの影響はきっとあると思います。水の音はデモの段階で既に入っていたんですよ。本番のレコーディングでは、紙コップに水を入れてストローでブクブクさせた音を入れました(笑)。これは、エンジニアの奥田泰次さんのアイデアでした。

ーところで今、気になっている機材は何かありますか?

AAAMYYY ライブで使っているKORG minilogueですが、酷使し過ぎてボロボロになってきているので、新たに黒いタイプ(monologue BK)を狙っています。以前購入したProphet’08も、自宅用の機材ではなくライブ機材として導入したい。他にも気になる機材はいっぱいありますね……そうそう、ZAHL EQ-1(API 500フォーマットのモジュール化したもの)とMOOG ONEがものすごく欲しいです。ライブで使うとしたら、私の周りだけ要塞化してしまいそうだけど。

ー(笑)。よく、ギタリストやベーシストが語っているような「愛器を愛でる」みたいな感覚って、キーボディストにもありますか?

AAAMYYY もちろんありますよ(笑)。例えば私が使っている機材とか、他の人が使ったときに「うわ、使いづらい!」ってなると思うんです。そこが逆に可愛かったりするんですよね。ライブで音が出なくなった時とかの応急措置とかも把握するようになると、余計に愛着が湧くというか。

ークルマに喩えるならクセのあるヨーロッパ車みたいな感じですかね?

AAAMYYY ああ、近いものがあると思います。アクセルの踏む角度にコツが必要だったり、ドアは強めに閉めなきゃいけなかったり(笑)、そういうところはキーボードにもあって。そこに魅力を感じているのかも知れないですね。


AAAMYYY
長野出身。カナダ留学中に宅録に目覚め、帰国してすぐ音楽活動を開始。2017年よりAAAMYYY名義での『WEEKEND EP』を皮切りにEP3作品を連続発表。また、Ryohuのゲスト・ヴォーカルやTENDREのサポート・シンセ、DAOKOへの楽曲提供やCMソングの歌唱、モデルなど多岐にわたる活動を展開、2018年6月からはTempalayに正式加入。2019年2月には1stソロ・アルバム『BODY』をリリースした。2020年には5月の「HOME」を皮切りに配信シングルを連続でリリースしている。




「Utopia」
AAAMYYY
SPACE SHOWER MUSIC

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE