全てはエルヴィスから始まった 1956年と1957年のプレスリーを聴く

この歌い方もそうですが、衝動・気分など、全てが身体で歌われているというのがポップス史上初めてだった。エルヴィス・プレスリーは、”ペルヴィス・プレスリー”というニックネームを頂戴したんです。ペルヴィスは骨盤の意味、腰で歌っているからですね。ニューヨークの人気番組『エド・サリバン・ショウ』に初めて出演した時に下半身を映してもらえなかった。これは有名なエピソードですね。でも、僕らは動く姿が見たかったわけです。音楽雑誌なんて無かったですし、写真も限られたものしか回ってこない。映画が公開される、あるいはされない、公開されてもすぐお蔵入りになってしまう。最初に買ったレコードが『監獄ロック』だって言いましたけども、アメリカで映画が公開されたのが1957年なんです。でも日本で公開されたのは1962年。あんな不良の映画は日本じゃヒットしないということで、公開されなかったんです。僕が見たのも1962年ですね。学校を抜け出して吉祥寺の映画館で見ました。今日最後の曲は映画『監獄ロック』の中の曲、「Treat Me Nice(邦題:やさしくしてね)」



この曲を歌っている時の格好がいいんですよ、私も真似しました。今週は1956〜1957年が中心なんですけど、映画『さまよう青春』の撮影が始まった時に、彼に入隊の令状が来るんですね。1958年に入隊して、1960年代に全く違う姿を見せてくれるんです。『監獄ロック』が公開されたのは1960年代に入ってから。1961年に映画『ブルー・ハワイ』がヒットして、そういえば日本であの映画をやっていないじゃないかということで改めて日本で『監獄ロック』が公開されたという話は来週しましょう。

Rolling Stone Japan 編集部

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