最高のロックをフィーチャーした、映画史に残る名シーン30選

9位
ドノヴァン「幻のアトランティス」
『グッドフェローズ』(1990年)

同じ監督の作品は重複させないようにしているが、マーティン・スコセッシだけは例外だ。このランキングもスコセッシ作品だけで埋められるだろう。しかもトップ30は『グッドフェローズ』の楽曲のみで構成できる。スコセッシは、皆が聴いたことのない曲を持ち込んで驚かせたり、聴き慣れた曲に新たなドラマを吹き込むのが得意だ。『グッドフェローズ』で使われた「キッスでダウン」(クリスタルズ)、「いとしのレイラ」(デレク・アンド・ザ・ドミノス)、「ジャンプ・イントゥ・ザ・ファイア」(ハリー・ニルソン)などがその最たる例と言えるが、中でも「幻のアトランティス」は特に意外な選曲だろう。バーでの喧嘩からロバート・デ・ニーロとジョー・ペシが敵対するギャングを激しく足蹴にし、ついには殺してしまう(殺害されたギャングは余計な口をきくべきでなかった)。その時ジュークボックスでかかっているのが、ドノヴァン(女優アイオン・スカイの父親!)の歌うフォークの優しいメロディだ。「幻のアトランティス」はそれまでにない奇妙な悪意を象徴する。デ・ニーロやペシですら、ドノヴァンの幻想的な曲に迷い込んでいるように見える。




8位
チャック・ベリー「ユー・ネヴァー・キャン・テル」
『パルプ・フィクション』(1994年)

映画音楽のミックステープを作らせたら、クエンティン・タランティーノの右に出る者はいない。『ジャッキー・ブラウン』で流れるザ・デルフォニックスの曲や、『キル・ビル』のサンタ・エスメラルダなどに見られるように、彼は常に音楽をどのようにアクションに絡めようかと新たな方法を模索している。彼は第二次世界大戦を舞台にした作品に、デヴィッド・ボウイの曲を使ったりする。拷問シーンで流れる「スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー」が有名な映画『レザボア・ドッグス』は、タランティーノの出世作となった。しかし『パルプ・フィクション』のセンチメンタルなダンスシーンの方が勝っているだろう。たださっき食べたランチを吐き出さずに観ることができる、という理由だが。ヒットマンがボスの妻とステージに上がり、チャック・ベリーの曲に合わせてツイストを踊る。後に血なまぐさい結果になりかねないセクシーダンスだ。当初ジョン・トラヴォルタは踊るのを拒むが、ユマ・サーマンに乗せられて殺し屋からダンサーへと転身する。



7位
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「ルッキン・アウト・マイ・バック・ドア」
『ビッグ・リボウスキ』(1999年)

デュードはいつまでも変わらない! 盗まれた車とクリーデンスのテープを取り返した彼は、いつも通りの自分に戻らねばならない。だから彼は自宅へ向かう車の中でマリファナを吸い、ビールを飲み、車のルーフを叩いて盛り上がる。このシーンを観ながら曲に合わせてエアギターをプレイしない人間はいないだろう。


Translated by Smokva Tokyo

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