米メディア王のサムナー・レッドストーン氏逝去 始まりはドライブインシアター

メディア王、サムナー・レッドストーン氏が97歳で逝去(Photo by John Blanding/"The Boston Globe"/Getty Images)

メディア大手バイアコム(現バイアコムCBS)、映画大手パラマウント・ピクチャーズ、米3大テレビ・ネットワークのひとつであるCBSを傘下に収め、メディア帝国を築いた巨星サムナー・レッドストーン氏が97歳でこの世を去った。

米ヴァラエティ誌が報じたところによると、National Amusementsというレッドストーン氏が親から受け継いだ家族経営のドライブインシアターで知られるレッドストーン家所有の同名の会社が米現地時間8月11日の午後にレッドストーン氏の死亡を認めた。詳しい死因は公表されていない。

「サムナー(・レッドストーン)は、無類の情熱と忍耐を持ちあわせた人物で、コンテンツが持つ力を信じ、生涯を捧げました」とNational Amusementsは述べた。「サムナーの死によって、彼が愛してやまなかったメディア界は偉大なる巨星のひとつを失いました。サムナーは愛情あふれる父であり、祖父であり、曽祖父でもありました。彼の家族はその死を悼むと同時に、彼の功績が今後何世代にもわたって生き続けることに慰めを見出すでしょう」。

サムナー・レッドストーン氏は、1923年に米マサチューセッツ州ボストンに生まれた。レッドストーン家が東海岸北部で経営していたドライブインシアターを25年で米国最大のメディアコングロマリットのひとつに変えたのは、レッドストーン氏だった。CBSのシンジケーション部門であるバイアコムを1986年に買収したNational Amusementsがバイアコムに対する影響力を広げるよりはやく、バイアコムはMTV、Nickelodeon、Showtimeといったチャンネルを手中に収めていた。

「コンテンツは王様」という言葉の生みの親はビル・ゲイツ氏ではなく、レッドストーン氏であり、1990年代初頭、勢力拡大を続けるバイアコムが、映画大手パラマウント・ピクチャーズを傘下に収めた。パラマウントの買収は波乱に満ちたレッドストーン氏のキャリアを物語るエピソードのひとつだ。パラマウントを全面的に買収するため、同氏はマディソン・スクエア・ガーデンやNBAのチーム、ニューヨーク・ニックスといった資産を売却しなければならなかったのだ。

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1999年には、レッドストーン氏は370億ドル(約3兆9500億円)と報じられた金額でCBSを手に入れた。レッドストーン氏は、2016年に精神療養施設をめぐる疑惑によって勢力争いが生じるまで、自ら築いた帝国のトップに君臨し続けた。最終的に、娘のシャリ氏が2019年に新生バイアコムCBSの会長に就任した。

12日、シャリ・レッドストーン氏はヴァラエティ誌に対して次のような声明を発表した。「父は、類稀な生涯を送りました。父は、私たちが知る現代のエンターテイメントを形作っただけでなく、家族という素晴らしいレガシーを築いてくれました。家族として私たちはお互い大きな愛を分かち合い、そのなかで彼は優れた父、祖父、曽祖父でした。彼の娘であることを心から誇りに思います。そしてこれからはずっと彼の不在を寂しく感じるでしょう」。

From Rolling Stone US

Translated by Shoko Natori

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