ライブ業界の救済基金、約16億円達成 世界約1万5000人のイベントスタッフを支援

長引く新型コロナのパンデミックによってライブ・エンターテイメント業界は瀕死状態だ。ツアーのみならず、イベントやフェスに出演するアーティストのブッキングを担当するブッキング・エージェンシーの活動が中断した結果、ライブ・ネイションと同業で米ライブビジネス大手のアンシュッツ・エンターテイメント・グループ(AEG)は、従業員の一時帰休や解雇に踏み切った。とりわけ打撃を受けたのが独立系ライブハウスで、パンデミックの最中に設立された独立系音楽会場の非営利組織、アメリカ独立系会場協会(NIVA)によれば、政府の追加援助がない限り、NIVAの会員である何千件ものライブハウスの90パーセントが廃業に追い込まれ、二度と営業を再開できないかもしれない。こうしたライブハウスを救済するため、ジョン・コーニン上院議員とエイミー・クロブシャー上院議員は、7月末に「Save Our Stages Act」という法律を米連邦上院に提出した。

・コロナ直撃、全米各地のライブハウスの声(写真ギャラリー)

7月に本誌が報じたとおり、イーグルス、パール・ジャム、ガンズ・アンド・ローゼズ、グリーン・デイなどの数多くのアーティストは、スタッフへの支払いを支援するために連邦政府が中小企業向けに可決した新型コロナウイルス経済対策法「The Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act(通称CARES Act)」によって設立された「Paycheck Protection Program(通称PPP)」ローンを活用した。「マイ・ケミカル・ロマンスは、またいつかツアー活動が再開できる日に向けて、この不透明な時代でもスタッフに対して確実に報酬を支払えるようにとPPP資金を受け取りました」とバンドは以前、本誌に語っている。マイ・ケミカル・ロマンスは、公表されている50を超えるローン受給団体のひとつだ。「献身的な熟練の職人たち——彼らのなかには、子どもを抱えていたり、介護に携わっていたり、あるいは家賃を支払わなければならない人もいます——に心から感謝しています。この資金は、彼らの家族と彼ら自身の助けになります」。

イベントが開催できないなか、ライブ・ネイションの収益は急降下した。先週、同社は2020年第2四半期の収益が98パーセント減少したことを発表した。フェスや夏のツアーといった同社の繁忙期とも呼べるこの時期は、パンデミックの影響でまったくの活動休止状態へと逆転してしまったのだ。ライブ・エンターテイメント業界は、コロナ以前のイベント形式に安全に戻れるようにと医学的な突破口を求めている。ラピノ氏は、先週行われた投資家向けの電話会議でライブ・ネイションが2021年の夏の本格的な復活を計画していると語った。

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Translated by Shoko Natori

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