歴史の転換点となったBlack Lives Matter、創始者が語る「人種差別抗議」の真意

BLMの先に広がる未来

私見ながら、BLMの創立者3人は、闘いが激しさを増すにつれ、いっそう力が入ってきてさえいる。カラーズは最近「R法案」をロサンゼルス郡で通過させたところだ。この法案は、保安官部門を市民によって管理することを定め、郡刑務所に収監された人々に対する精神科ケアや薬物療法その他のサービスを改善することにフォーカスしたものだ。「この運動に関わってもう20年になります」と彼女は語る。「いつも私は信じられないくらい楽観的でした――ほとんど欠点みたいなものです。私がここ7年にわたって見てきたものの大部分を占めるのは、インフラやオーガナイジングの力が弱まることはないということです。抵抗が起こり、反乱が起こるとき、組織はとても重要な役割を演じます。私たちが大きく大胆な変化を達成できる好機は存在するのです」

トメティは現在の状況が持つ緊急性と独特な性格を認めている。「現状について考えると、私としては、ここにたどり着くまで私たちは十分な早さで動けていないように感じていました」。彼女が私に語る言葉は苛立って聞こえた。「私たちの仕事は、状況が求めるほどには効果的ではありませんでした。私たちはあらゆる賞を受賞しました。でも私は『ああ神様、もう賞なんかいらない、これが終わってほしいんだよ』という感じで。もう称賛はたくさん。私にとってみれば、そう思うのは常識の範疇です。こんなふうに人々が死に、殺されるのも見たくはないでしょう」

私はそう語るトメティの口調を心に留めた。彼女の声には興奮よりも苛立ちがあった。この7年間は長かったが、この仕事に打ち込むアクティビストたちにとっては想像を絶するほどの長さだったのだ。アメリカにおいて、黒人の痛みはそれが身体的なものであれなんであれ常にはっきり見えていた。身体的であれ感情的であれ、痛みは奴隷にされた私たちの祖先の背中に残るケロイドのごとく突出している。銀板写真に収められている隆起したミミズ腫れは、どこに鞭打たれたかを記憶に留めるものとして彼らが永遠に身にまとうものであった。永久に刻み込まれたこれらの傷痕のごとく、黒人はアメリカという国が抱える致命的な併発症を暴露するために、常に自らの健康をリスクに晒す必要があった。セルマのエドマンド・ペタス橋における血の日曜日事件がなければ、またアラバマ州警察官によるアクティヴィストのジミー・リー・ジャクソンの殺害がなければ、1965年の投票権法の成立に至る道は開かれなかった。次のことはきわめて重要だ。つまり、アメリカの白人はまず黒人の身体に見舞われた暴力を目にし、それから平等に向けて動き出すのだ。事態は2020年になってもまったく変わっていない。

同様に、私たちは白人たちに、私たちの犠牲によって彼らに利益をもたらすこうした構造に対する闘いに加わってもらう必要がある。しかし、私たちを救ってくれと求めるべきではない。白人たちの多くが能動的でコンシャスな役割を引き受けるために踏み出した最初のステップを私は歓迎する。たとえその多くが下手くそで薄っぺらかったとしてもだ。人々は「反レイシズム」が何を意味するか学ぶ必要があった。たとえば何の本を読むべきか、この闘いを助けるためにはどこに送金すればよいか、どこに金を落とすのをやめるのがよいか。そして、政治家にいつもどおりの感受性訓練のセッションとは異なる意味あるアクションを起こさせるためには、プロテストはこれほどの大きさで行われる必要があった。白人たちが黒人の命の尊さを訴え大挙して行進する。すると出し抜けに、政治家たちも仕事を済ませるため重い腰を上げだしたのだ。


6月7日、イタリア・ローマにて撮影。BLM運動はアメリカから世界中に広がっている。(Photo by Alessandra Benedetti - Corbis/Getty Images)

これ以前、黒人たちが多くの場で私たちの生存を懇願し、多くの遺骸を前に祈りを捧げてきたにも関わらず、それでは不十分だった。エリック・ガーナーやエリック・ハリスやジョージ・フロイドやハビエル・アンブラーが警察の拘束に対して「息ができない」と懇願しても、彼らの訴えは無視された。バーニス・キング牧師の父親であるマーティンは、最後のスピーチで「私たちみんながアメリカに言っているのは、『書いたことに忠実たれ』ということです」と述べた。この国の言葉には黒人にとっても何らかの意味があるはずだ。

「ブラック・ライヴズ・マター」という言葉は、この3人のアクティヴィストによって勇敢に提案され、いまや多くの人々が担う言葉である。この言葉は、それを口にすることを選んだ権力あるポジションにつく者の、具体的な行動や政策によって支えられなければならない。NFLのコミッショナーや映画会社の重役、そして政治家たちのことだ。黒人たちが息をすることのできるアメリカを、そうした自分たちの要求を白人たちに承認してもらう必要のないアメリカを築くため、闘いは続く。この国が自らの持つポテンシャルを発揮しそこねていることの責任を取らせるまでは、私たち黒人の命が真に大切に扱われることはない。

Translated by imdkm

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