ジョン・ボイエガ、『スター・ウォーズ』出演による人種差別体験を語る

(Photo by Dan Kitwood/Getty Images)

ファンから受けた人種差別的な嫌がらせや疎外など、ジョン・ボイエガが『スター・ウォーズ』シリーズ制作中に体験した出来事を語った。

『スター・ウォーズ』シリーズのフィン役で知られる俳優のジョン・ボイエガは、英国版GQ誌のインタビューで同シリーズ制作中に経験した疎外や苦悩について語った。2019年に公開された『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』によってシリーズのメインストーリーに幕が降りて以来、ボイエガが『スター・ウォーズ』について口を開いたのは、このインタビューが初である。

ボイエガは、『スター・ウォーズ』シリーズで元ストームトルーパーのフィンという役を演じたことが自身のチャンスとなり、俳優としてのブレイクのきっかけになったことをないがしろにはしなかった。その上で、制作当初から同シリーズとの関係が緊張感をはらんだものであったことを率直に明かした。2015年の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のキャストにボイエガが抜擢されたというニュースが広まると、一部のファンはあからさまに黒人差別的な非難をボイエガに浴びせた。ボイエガは、そのときの経験が昨今の抗議デモ活動へと彼を導くきっかけになったと語った。

「シリーズのなかで、人種が原因で特殊な経験をしたキャストは俺だけなんだ」とボイエガは言った。「とりあえず、いまはそのままにしておこう。そういうプロセスには腹が立つ。それは人をより好戦的にし、人を変えてしまう。なぜなら、『このチャンスを与えられたけど、この業界はまだ俺を受け止める準備さえできていないんだ』と思うから。キャストのなかには、出演を理由に映画をボイコットされるような俳優は誰ひとりいなかった。『黒人がストームトルーパーを演じるな』のように、Instagramのダイレクトメッセージで激しく批判されたり、殺害の脅しを受けたりした人もいなかった。そんな体験をしたキャストはひとりもいない。でも人々は、俺がこうして語ることに面食らっている。そこにイライラするんだ」。

ボイエガは、表面的な嫌がらせに加え、見えない形の偏見が脚本と制作プロセスに忍び込んできたことを詳しく述べた。人々がプロジェクトのすべてを好意的に受け止めるのは当然難しいと認める一方、ボイエガは次のように語った。「俺は、ディズニーにこう言いたい。シリーズに黒人のキャラクターを登場させ、実際よりも重要な人物であるかのようにマーケティングしてから脇に押しやってはいけない。それは、正しいことじゃない。はっきり言わせてもらうよ」。

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さらにボイエガは、ナオミ・アッキー、ケリー・マリー・トラン、オスカー・アイザックといった有色人種の俳優もシリーズ3作をとおしてボイエガと同じように疎外されたと主張した。

「人々は、デイジー・リドリーやアダム・ドライバーのような白人俳優の扱い方はわかっているつもりでいる」とボイエガは言った。「でも、ケリー・マリー・トランやジョン・ボイエガの場合は? みんなは俺に何て言ってほしいんだ? 最高の体験の一員になれて光栄でしたとか言えばいいのか? ほんとうに最高の体験だったらそう言うけどさ。誰もがアダム・ドライバーやデイジー・リドリーを引き立てることばかりに気を取られていた。正直に言うよ。デイジーもアダムもこのことを知っている。みんな知ってるんだ。これは暴露なんかじゃない」。

ボイエガには、『Red, White and Blue(原題)』という次のプロジェクトが控えている。同作は『Small Axe(原題)』というスティーブ・マックイーン監督の5本の新作アンソロジーシリーズのひとつで、ロンドンの西インド系移民のコミュニティを題材にしている(年内にAmazon Prime Videoで配信予定)。ボイエガは、同作での体験について次のように語った。「スティーブ(・マックイーン)は、俺が共感できるアイデアを提供してくれ、それはいままで体験したことのない独創的なものだった。演劇学校に通っていた、人生でもっとも幸せだった頃を思い出させてくれたよ。セットでは、やっと自由に呼吸できるチャンスを与えられた気がした」。

GQ誌の同じインタビューに応じたマックイーン監督は、ボイエガとまた仕事をすることを楽しみにしていると語った。「いまは危険な男だけど、それこそ私が望む姿だ」。


Translated by Shoko Natori

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