YouTubeがTikTok風ショート動画機能を発表、撤退したインドからスタート

2018年1月26日、ニューヨーク・シティのIndustriaで行われたイベント、YouTube brings the BOOM BAP BACK to New York Cityにリオ・コーエン、Nas、グランドマスター・フラッシュ、Qティップ、チャックD、Fab 5 Freddyとともに参加したシーロー・グリーン。(Photo by Brian Ach/Getty Images)

大手動画配信サービスのYouTubeがショート動画機能を公開。TikTokが撤退したばかりのインドからサービスをスタートさせる。

『スター・ウォーズ』のクローンの攻撃が現実になった。YouTubeは「YouTube Shorts」というショート動画機能を携え、ますます競争が熾烈になるショート動画エコシステムに参入することを発表した。「YouTube Shorts」は、15秒の短い動画を編集・投稿できるサービスだ。TikTokに対抗する類似機能を通じ、どうやらYouTubeはTikTokが数年にわたって支配してきた市場に参入しようとしている。今後数日にわたってインドでベータ版の「YouTube Shorts」を開始する。偶然にも、インドでは今年の夏にTikTokがすでに禁止されたエリアだ。今回の発表は、InstagramがTikTokのライバルとなる「Reels」を発表したわずか数週間後の出来事である。

YouTubeが14日に公式ブログに投稿した文書が指摘するように、ショート動画という形式はYouTubeにとってまったく新しいものではない。「Charlie Bit My Finger(チャーリーに指を噛まれた)」や「Good Morning Y’all(みんな、おはよー)」といったバイラル動画の多くは、一般的にYouTubeのイメージが強い。それに、YouTubeが初めて投稿した動画「Meet Me in the Zoo(動物園にて)」は18秒だった。とはいっても、バイラル動画よりも長い音楽やVlog(動画ブログ)は、YouTubeのいたるところにある。

TikTokによる情報流出を懸念したトランプ政権がこの数カ月にわたって同アプリの米国事業を禁止したいと繰り返し訴え、同アプリの未来に不安の影が落ちて以来、複数のアプリが健闘してきたにもかかわらず、どれもTikTokを玉座から引きずり降ろせていない。FacebookはInstagramの「Reels」をローンチし、サウィーティーやマイリー・サイラスなどの新曲のティザー映像を流した。TillerはTikTokで大人気のジョシュ・リチャーズを引き抜き、同社のチーフストラテジーオフィサーに迎えた。スタートアップ企業のByteは、結局は起こらなかったサービス停止に備えてTikTokユーザーがほかのアプリに乗り換えた結果、一瞬ではあったが、App Storeでダウンロード件数1位に躍り出た。

・トランプ大統領のTikTok禁止、米国内のネット右翼はどう受け止めた?

複数にわたって大統領令が出され、TikTokの親会社であるByteDanceが米政府を提訴したあと、TikTokは当初買収に名乗りを上げていた米マイクロソフトではなく、米オラクルと提携すると報じられている。TikTokとオラクルの提携案の詳細はまだ発表されていないものの、今回の提携によってトランプ政権との争いが鎮まり、TikTokにとって波乱に満ちた数カ月がようやく終わるかもしれない。

コミカルなショート動画の強力なアウトレットであることはもとより、たった数秒のショート動画はキャッチーなフレーズをバイラルヒットに変えられる場でもある。多くの2020年最大のヒット曲をブレイクさせ、アーティストの新曲のプロモーションを行い、未発掘アーティストを発見する場としてレコードレーベルをサポートした結果、とりわけTikTokは音楽業界における影響力の強さを証明してきた。

Translated by Shoko Natori

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