はっぴいえんど、遠藤賢司、金延幸子など「日本語フォーク/ロックの源流」名曲15選

岡林信康「今日をこえて」(1969年)


1stアルバム『わたしを断罪せよ』に収録。ここでの演奏は中川イサト(ギター)とジャックスの木田高介(ピアノ)、谷野ひとし(ベース)、つのだ☆ひろ(ドラムス)で、アレンジを担当した中川はジェームス・バートンのサウンドをイメージしたという。歌詞もデビュー当時のリアリズムが変容、早くも脱フォークの前兆が窺える。岡林は次作『見るまえに跳べ』(70年)で、はっぴいえんど共にこの曲を再録音。グルーヴ感を強調し、よりロック色の濃いサウンドに生まれ変わった。


高田渡「鉱夫の祈り」(1969年)


『高田渡/五つの赤い風船』に続く初のフル・アルバム『汽車が田舎を通るそのとき』は、女性との会話を挟みながら弾き語りを進行する構成。前作に収められた「自衛隊に入ろう」の逆説的な表現で注目されたが、この曲では毒とユーモアを抑え、訥々と炭鉱生活の苦しさを訴えていく。滋味溢れる弾き語りは、この時点で20代前半とはとても信じ難い。息子の高田漣は、選曲・監修を担当した父のオールタイム・ベスト盤『イキテル・ソング』(2015年)にこの曲を選び、自身も歌っている。


高田渡(Photo by Shoji Hori)


早川義夫「サルビアの花」(1969年)


ジャックス解散後に発表した初のソロ・アルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』に収録。ドラマティックな歌詞を書いたのはジャックスの「マリアンヌ」や「遠い海へ旅に出た私の恋人」で知られる相沢靖子。無駄を徹底的に省いたアルバムの中でも、この曲のピアノ弾き語りは強烈な印象を残す。もとまろのカバーでヒットしたが、そちらは鬼気迫る原曲と違って、カレッジフォーク風のライトな仕上がり。他にもあがた森魚、甲斐よしひろ、井上陽水など数多くの歌手にカバーされた。

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