はっぴいえんど、遠藤賢司、金延幸子など「日本語フォーク/ロックの源流」名曲15選

友部正人「一本道」(1973年)

名古屋での活動を経て、「大阪へやってきた」で歌われている通りに10トントラックで大阪に到着。大塚まさじによると、無口でほとんど喋らないが、ひと度ギターを持って歌い始めると強烈な個性を発揮する友部は「皆が一番恐れた男」だったそうだ。デビュー・アルバム『大阪へやってきた』(72年)は一部にはっぴいえんどの面々などが参加したが、2作目の『にんじん』は他者の入る隙が一切ない濃密な弾き語り作品に。映画1本分に匹敵するドラマが凝縮された「一本道」は同作のハイライトだろう。


なぎらけんいち「昭和の銀次」(1973年)

五つの赤い風船や高田渡などURC勢の作品に刺激されたなぎらは、1970年、中津川フォーク・ジャンボリーに飛び入り出演して注目された。72年にビクターのSFレーベルからアルバム『万年床』でデビュー。2作目『葛飾にバッタを見た』は、念願叶ってURCから発売。コミカルな「悲惨な戦い」ばかり語られがちだが、アメリカの伝承歌を踏まえたバラッド(物語歌)の巧さも絶品。スリの生活をテーマにした「昭和の銀次」は、車窓から小菅の拘置所を眺めている時に思い浮かんだという。


なぎらけんいち(なぎら健壱)


三上寛「赤い馬」(1974年)

URCでの2枚目のスタジオ・アルバム『BANG!』は、山下洋輔のマネージャーだった柏原卓が制作に関与し、ジャズに急接近。7分に及ぶこの大曲も、山下と共に訪れた沖縄での“サイケデリックな想い出”から生まれたものだ。『ひらく夢などあるじゃなし』(72年)とはやや異質な心象風景を思わせる歌詞に、山下を中心としたジャズ・ロック/プログレッシブ・ロック的な演奏が溶け合い、唯一無二の世界を形成。コード進行の一部は、意外にもビートルズ「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」に影響されたそうだ。

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本体 1800円+税
A5判 192ページ

〈CONTENTS〉
名曲セレクション
後世に残したいURCの50曲
URCレコードの歴史(小倉エージ)

アーティストによる証言①
高石ともや
中川五郎
中川イサト
休みの国

元ディレクターによる証言
レコード制作現場の実状(小倉エージ)

アーティストによる証言②
金延幸子
スティーヴ・ガンが語る金延幸子の魅力
斉藤哲夫
大塚まさじ
三上 寛
なぎら健壱
古川 豪
やぎたこが語るレジェンドたちとのコラボ

世代別URC体験トーク・セッション
Soggy Cheerios(鈴木惣一朗×直枝政広)
中村ジョー(イーストウッズ/元ザ・ハッピーズ)×石垣窓(フリーボ)
佐藤良成(ハンバート ハンバート)×前野健太

コラム
岡林信康:『岡林、信康を語る』で明かされたURC在籍時の心情
高田 渡~永遠の「仕事さがし」
今日的視点で見るURCレコードの後継者たち
URC50周年記念コンピレーションCD

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