コロナ禍でも大盛況、「伝説のスタジオ」アビー・ロードが実践する新たな取り組み

アビー・ロードで配信ライブを行ったアイドルズ(Courtesy of Idles)

89年の歴史で初めての休業を余儀なくされたアビー・ロード。その後、ソーシャルディスタンシング時代に対応した新たな対策に取り組み、ロンドンの名門スタジオは活況を取り戻しつつある。


今年3月、COVID-19関連の規制で約3カ月の閉鎖を余儀なくされたとき、アビー・ロード・スタジオはすでに心構えができていた。多くのアーティストやオーケストラがすでに予約をキャンセルしており、スタッフも運営対策を練り始めていた。そうはいえども、やはり戸惑いはあった。「アビー・ロードは今まで一度も休業したことがないんです」 スタジオのブランド戦略および広報部門主任のマーク・ロバートソン氏はローリングストーン誌にこう語った。「来年は90周年を迎えますが、営業を止めたのは今回が初めてです。まさに大事件でした」

この日、ロバートソン氏とマネージャーのフィオナ・ジロット氏は、非接触型の来館チェックシステムが設置された入り口から第3スタジオへ向かった。異様なほど館内はがらんとしている。6月4日から営業を再開したが、収容人数は減らした。2メートルの間隔をあけてください、という張り紙がそこかしこに見える。Zoom経由でローリングストーン誌の取材に応じた両氏は、スタジオの中で互いに安全な距離を確保するまでマスクを着用したままだった。

●【動画を見る】1964年、アビー・ロード(EMIスタジオ)で録音するビートルズ、貴重写真も

第3スタジオはピンク・フロイドが『狂気』をレコーディングした場所だ。エイミー・ワインハウスやポール・マッカートニー、The 1975、その他大勢のアーティストの収録もここで行われた。通常なら30人の合唱隊や7人編成のバンドを収容できるのだが、現在はレコーディングルームには最大4人まで、ミキサーブースには1人までしか入れない。最近カフェと外のエリアの営業を再開したばかりで、建物内ではミュージシャンやエンジニアが忙しく作業しているが、Zoom取材の間、画面から確認できたのは、ガラス扉ごしにホールを掃除する清掃員だけだ。

「ミュージシャンだろうと誰だろうと、スタジオの入れ替えごとに徹底した清掃の時間を確保しなくてはなりません」とジロット氏。「大人数のオーケストラの収録後は、5人がかりで3時間かかることもあります……前より多少時間はかかりますが、(収録の)要望はものすごいですよ」。中でも比較的大きなスタジオは「2021年までほとんど予約でいっぱい」だとロバートソン氏は付け加えた。

Translated by Akiko Kato

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