今月は、10月7日にリリースされる佐野元春さんの『MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980 - 2004』と、『THE ESSENTIAL TRACKS MOTOHARU SANO & THE COYOTE BAND 2005 - 2020』を中心に、改めてそんなお話をお訊きできたらという1ヶ月です。ファンの方からしたらおさらい編でしょう。この曲から彼の歴史が始まりました。1980年3月21日発売、「アンジェリーナ」です。
田家:というわけで、デビュー40周年の佐野元春さんです。こんばんは。
佐野元春(以下、佐野):こんばんは。よろしくお願いします。
田家:40周年ということで日々忙しそうですね。
佐野:そうですね。ただちょっと、肩透かしを喰らったようなアニバーサリーイヤーですね。
田家:改めて40周年を辿ってみたいと思っているのですが、実は先日、東京のFM局の開局記念番組の生放送に呼ばれて「ポップスとラジオ」というテーマでお話していたんです。その中で佐野さんはラジオのディレクターだったということに触れたら、Twitterでリアクションがかなりあったんですよ。まずはラジオのディレクターをやっていて、そこからプロのミュージシャンになったという時のことについてお訊かせください。
佐野:自分のことを舞い上がらせるような日本語のポップロック音楽がなかった。だったら自分で作ろうということでやってみました。
田家:その時にはどれくらいの覚悟が必要だったんですか?
佐野:米国の知人のDJが「今曲を書いてるんだったら、今唄った方がいいよ」っていうアドバイスをしてくれて。それもそうだなって思った。帰国してからレーベルと契約しました。
田家:佐野さんが、アメリカで出会ったミュージシャンが「西海岸でダメで東海岸でやり直すんだ」と言っていた話を聞いて、人生はやり直せるんだっていうことに気づかされて日本に帰ってこられたという話もありました。
佐野:当時は十分若かった。とにかくやってみたいことはなんでもやるぞと思っていた。
田家:デビューアルバム『BACK TO THE STREET』というタイトルは、色々なレコード会社に持ち込んだりしている中でもうあったんですか?
佐野:そうだね。何か気の利いたタイトルを、と思い『BACK TO THE STREET』。テーマでもあるし、メッセージでもあった。
田家:曲はもう全部揃っていて、デビューアルバムを飾るにふさわしい自信があった?
佐野:楽しんでもらえるかなっていう自信はあった。ライブでは全国どこの会場も満員でいい感じだったから。
田家:そのデビューアルバムの中にこういう曲があったのも新たな発見ではないでしょうか。デビュー・アルバム『BACK TO THE STREET』から「情けない週末」。