デビュー40周年佐野元春 1980年代前半の楽曲を振り返る



田家:ニューヨーク生活は1983年~1984年なわけですから、デジタルなテクノロジーも今とは比較にならないほど素朴だったわけでしょう?

佐野:そうだったね。「ニュー・エイジ」は未来を思って書いた曲でした。でも、その未来はバラ色な世界ではなく、どちらかというとディストピア的な世界観が僕の中にあった。闇を切り裂いて船を漕ぎ出す、といったイメージ。当時1983年は、社会学者がデジタル・ネットワーキングのことを語り出していた。今でいうWorld WIde Web。僕もニューヨークで暮らしながら歴史が変わっていくのを直感していた。それを曲にしたのが「ニュー・エイジ」です。

田家:新しい文化が続々と誕生している中で、ポジティブな気持ちなだけではなく、そこに流れるディストピア的なものも受け止めながらこの曲に繋がっていったということなんですね。そして1984年6月に帰国されて、アルバムチャートで1位になったんですが、帰国してから精神的に不安定だった時期もあるっていう話も残っていますね。

佐野:逆カルチャーショックだよね(笑)。日本の景色が少し自分の中では奇妙に見えることがあった。特にTVコマーシャル。なんでこんなに白人女性が出てるんだろうって、そういう違和感もあって少し頭が狂っちゃった。

田家:それが形になっていったのが次のアルバムなのかなと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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