ボン・ジョヴィ、オジー、エアロに愛されたロック写真家が語る思い出の一枚

ボン・ジョヴィ(1988年)Photo by Mark Weiss/Courtesy of Insight Editions

80年代のロック・レジェンドを捉えた写真集『The Decade That Rocked』。ロック・フォトグラファーとして知られるマーク・ワイスの貴重なアーカイブの一部と逸話を紹介しよう。

10代の頃、ワイスはコンサートにこっそりカメラを持ち込んで、撮った写真をファンに売っていた。70年代後半には、KISSの写真を売った罪で一晩刑務所に入り、出所した後、自分のポートフォリオをCircus誌に持ち込み、エアロスミスの撮影を依頼された。まもなく、彼は80年代のハードロック全盛期の最前線に立ち、オジー・オズボーン、ヴァン・ヘイレン、AC/DCなど数え切れないほどの写真を撮影しました。

『The Decade That Rocked』の中で、ワイスはヘアメタルの時代を振り返っている。「誰もが楽しんでいた時代だった」とワイスは言う。「この音楽を聴いていた人たちは、今でも当時と同じように宗教的に聴いています。それが今でも彼らのライフスタイルなのです。だからこそ、モトリー・クルーやポイズン、ボン・ジョヴィのようなバンドが今でもスタジアムで演奏できるのです。これほどの興奮を味わった10年間は他にはないよ」

●ジョーン・ジェット(1980年)

Photo by Mark Weiss/Courtesy of Insight Editions

これは彼女が「アイ・ラヴ・ロックンロール」のデモを初めて聴いたときの写真、っていうのが俺の希望的観測なんだけど、実際に彼女が何を聴いていたのかは知らない。彼女も覚えてないんじゃないかな。一目見てそれがいつの時代かわかる、時間を切り取ったような写真が好きなんだ。ここにテープレコーダーとヘッドホンが写ってなかったら、これが1980年の写真だとは断言できないだろう。ワインボトルも灰皿も今出回ってるものと大差ないけど、ウォークマンは80年代の象徴だからね。ツアーバスのラウンジだって、最近のものとそう違わないはずさ。でも何より魅力的なのは、やっぱり彼女の表情だね。彼女が何を聴いていたのか、すごく気になるだろ?

俺は1980年から彼女の写真を撮るようになった。当時彼女はたくさんショーをしていて、これはニューヨークで撮った。彼女がザ・ランナウェイズを辞めて、ソロに転向したばっかりの頃だね。俺はランナウェイズのファンだったから、ジョーンと仕事ができるようになってうれしかったよ。当時彼女は21歳か22歳だったんじゃないかな。


●ヴァン・ヘイレン(1980年)

Photo by Mark Weiss/Courtesy of Insight Editions

俺は彼らのショーの写真をたくさん撮ってたから、デヴィッド・リー・ロスがこのジャンプをするタイミングを知ってた。彼がドラムの台に上がるとカメラを構えて、彼にピントを合わせた。完璧な1枚を撮れるチャンスは1度きりだ。この写真ではモーションをとらえるために、フラッシュを焚く必要があった。俺は自動フォーカスを一切使わなかったから、ピントを前もって合わせておかないといけなかったんだけど、被写体が動いてると難しいんだ。もっとエディー(・ヴァン・ヘイレン)を入れたかったけど、そこは妥協するしかなかった。切れてはいるけど、彼が叫んでるところを捉えてるのはクールだと思う。デイヴに関しては文句なしだね。何メートル飛んだのか知らないけど、最高に思い切りのいいジャンプだった。トランポリンを使ったのかと思うほどにね。グッときたよ。

彼らとのツアーはまさにパーティーだった。女の子に渡せるよう、彼らはいつも俺に余分にパスをくれた。デイヴはパスに適当にイニシャルを振るんだけど、彼と対面することができた女の子のイニシャルがそれと一致してると、その娘はボーナスをもらえるんだ。いくらだったのかは知らないけどね。俺はパスをたくさん配ったけど、回収した覚えは一度もないよ。

Translated by Masaaki Yoshida

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