ローリングストーン誌、「歴代最高のアルバム500選」リストを刷新

ローリングストーン誌が「歴代最高のアルバム500選」リストを刷新

9月23日、米ローリングストーン誌は8年ぶりに大幅改訂された「500 Greatest Albums of All Time」(歴代最高のアルバム500選)を公開。ビヨンセ、テイラー・スウィフト、スティーヴィー・ニックス、その他多数の投票で新しくなった歴代ベストアルバムリストは、不朽の名作や意外なセレクションが満載となっている。



最初に弊誌が歴代ベストアルバム500選を発表したのは2003年12月。エイミー・ワインハウスが『バック・トゥ・ブラック』をリリースする3年前で、ケンドリック・ラマーの『グッド・キッド、マッド・シティー』がリリースされる10年も前のことだった。現在のトップミュージシャンの多くは(ファンも)中学生にもなっていなかった。当時のリスト自体は非常に大好評で、昨年だけでもおよそ6300万人が弊誌のサイトで閲覧した(リスト専用のFacebookグループや、「ジェネシスをローリングストーン誌が選ぶ歴代ベストアルバムに加えたい!」など、リストに漏れたアーティストをプッシュするファンサイトもあった)。21世紀に突入して早20年――そろそろ、リストを再検証する時がきたようだ。

我々が目指したのはリストの改訂ではなく、一度すべてチャラにして、ポップミュージック界の大御所と変わりゆく時代の流れを反映し、ゼロから新しく作り直すことだった。ミュージシャンからプロデューサー、ジャーナリスト、音楽業界の重鎮まで、300以上の人々に投票用紙を配布。ビヨンセからリン=マニュエル・ミランダ、テイラー・スウィフト、ブリタニー・ハワードまで、大勢の人々が票を投じた。

結果を見れば一目瞭然、154枚のアルバムが新たにエントリーを果たし、21世紀にリリースされたアルバムは86枚。前回のリストよりもロック色は薄く、ヒップホップのレガシーと今なお続くバイタリティが顕著に表れ(ラップアルバムの数は前回の3倍)、ソウルミュージックの流れをひく作品も目立った。プリンスは上位50位内に2枚のアルバムがランクインしているし、ローリン・ヒルの『ミスエデュケーション』は前回の312位から10位にジャンプアップ。マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』は(文句なしで今の時代にふさわしいアルバム)ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』からNo.1の座を奪った。

「前回のリストとの大きな違いは、ポップミュージックにはこれという客観的な系譜がない、という考え方です」 1年におよぶプロジェクトを統括したローリングストーン誌のレビュー編集者、Jon Dolanはこう語る。「現代の嗜好が素直に表れていると思いますよ」それはこれまでのリストにはなかった様々なジャンルの音楽にも表れている。ラテンポップに始まってクラウトロックまで、ディスコやインディロック、R&Bアルバムも多数エントリーされている。「純然たるロック一辺倒の視点ではなく」とDolan。「むしろ様々な系譜が共存している状態、複数のテイストの連合体です」

筆者も投票するにあたり、制作された年代や業界での評価にかかわらず、今もエネルギーや興奮が感じられるアルバムに重きを置いた。自分でも驚いたことに、パブリック・エナミーの『It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back』やクラッシュの『London Calling』、ルシンダ・ウィリアムスの『Car Wheels On A Gravel Road』を改めて聞いたところ、あれだけ年月が経った今も新鮮に響いた。

「100回聞き倒したアルバムも、101回目にまた新たな発見が見つかるんです」とDolanも言う。「僕自身、『The Velvet Underground and Nico』を聴き直して衝撃を受けました。これは本物だと思いましたよ。本当にすごいことです――生涯ずっと話題にできる音楽を見つけられるなんて」

>>>リストを見る
ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選 | 2020年改訂版


From Rolling Stone US.

Translated by Akiko Kato

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