TOSHI-LOWとILL-BOSSTINOが語る、レベルミュージックの本質と音楽の可能性

BRAHMAN feat. ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)



もっと純粋に何かを遺したいっていう気持ちが原動力になってくる(BOSS)

-今、自由とはどうやって掴むものだと思いますか。

TOSHI-LOW:BOSSが言った「こんなにグチャグチャな世界だからこそ、自分がどう生きたいのかがよく見えるはずだ」っていう話が、そのまま自由の意味だと思う。本当はどう生きたいのか、理想はどこにあるのか……失われたものが多いからこそ自分本来の姿を見つめ直せるし、最終的には自分との闘いだけが残る。社会の事象側から歌うBOSSにしても、自分の心象風景から歌う俺にしても、最後は自分次第だっていうところに辿り着くのは同じなんだよね。

BOSS:わかる、結局は同じことを歌ってるからね。

TOSHI-LOW:それに、絶望なんてずっとあるもんじゃんか。安倍や小池をひっくり返したって、このままだったら同じようなことが繰り返されるだけ。だとすれば、俺達自身が好きに生きられるように変わらなきゃ。ユートピアっていうのは誰かが作ってくれるものじゃなくて、一人ひとりが自分で作るものなんだよ。民主主義だって、本来は全員が参加して初めて成立するものなのに、参加しない連中が勝手な自由を掲げるから成り立たなくなってるわけでしょ。責任を放棄するんじゃなく、自暴自棄になるんじゃなく、自分の責任を自分で果たしながら、それぞれが自分に向き合って生きるしかない。それが「CLUSTER BLASTER」で歌ってることだと思う。

BOSS:パンクやヒップホップが世の中の軋みから突然変異で出てきた時みたいに、どんどんやればいい時代だと思うよ。人を傷つけたり攻撃したりするのは違うけど、でも、基本は何でもあり、何を表現しても許されるどさくさ感が今はある。本当に、こんなに自分を解放できる時代はないと思うよ。

TOSHI-LOW:メジャーのレコード会社からリリースする歌に“狂ってる”っていう歌詞を載っけちゃうくらいだからね(笑)。

-確かに(笑)。ただ、自由に生きればいいと開き直れないほどの絶望に苛まれている人も現実的にたくさんいると思うし、特にユース世代は、この国のツケを払わされる理不尽さを感じていると思う。そういう意味で、TOSHI-LOWさん・BOSSさんの世代として果たす役割、あるいは自分達世代の反省などを考えることはありましたか。

TOSHI-LOW:そうだな……俺らはCDが売れる時代も経験したし、音楽だけで食っていける時代を生きられた世代で。でも、今の日本や街の状況を見ていると、俺らが経験してきた消費社会の成れの果てなんだろうなって思うことも確かにあってね。そう考えると、今の若い世代と同じ土俵で時代を評論することは難しいかもしれないし、俺ら世代の責任も間違いなくあるよね。かと言って「おっさんはどけよ」って言われたら、カチンとくるからさ(笑)。いろんなことを受け止めた上で、純粋に俺らはこうだっていうのを表現しただけのような気もするんだよ。

BOSS:「お前らも好きにやっちまえよ」って実際にやって見せることしかないと思うんだよね。失敗も挫折もしてきて、失敗しない方法もなんとなくはわかってる。だけど新しいことに挑戦して失敗しても立ち上がる時間くらいは残されてるのが、ギリ若くもありおっさんでもある俺らの世代だから。とにかく切り開くのは自分次第だぜっていうことを見せていく他ないんだよね。俺らの世代も先達のそういう生き方に引っ張られてここまで来たようなもんだし。

TOSHI-LOW:ところでBOSSは、ラッパーとしての終わりの日って考えてる?

BOSS:ラッパーとしての終わりは考えたことはないかもね。ラップって言っても、ただの言葉だしさ。特別な何かは必要じゃなくて、そこに心があればラップになると思うから。逆に、BRAHMANみたいに「バンド」となるとまた違うよね。メンバーもいることだし。

TOSHI-LOW:まあ、じいちゃんになったら座って演奏するのも楽しいんじゃねえかなって思うけどね。ただ、俺は自分の表現者としての引き際を考えることが増えたかも。それも結局は、死を想うから今を必死に走ろうと思えるってことなんだろうけど。

BOSS:承認欲求とかお金以上に、自分の人生の残り時間を意識すればするほど、使命感や役割の話じゃなく、もっと純粋に何かを遺したいっていう気持ちが原動力になってくるよね。使命とかオピニオンリーダーみたいなものは、今に限らず昔から拒否してきたと思うしさ。

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