TOSHI-LOWとILL-BOSSTINOが語る、レベルミュージックの本質と音楽の可能性

BRAHMAN feat. ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)



「またね」っていう曖昧な約束があるから生きていけるもんだとも思う(TOSHI-LOW)

-そして、今のお話にも出てきた「BACK TO LIFE」について。社会への問題提起を多分に孕んだ「CLUSTER BLASTER」の対になる曲とも言えるし、仲間と飯を食う団欒の風景が描かれつつ、個々の生活や愛すべき人の存在に主眼が置かれている面で言えば、「CLUSTER BLASTER」と根底で繋がっている曲とも言えると思ったんですが。

BOSS:コロナを経て、人と離れ離れになってしまう辛さを誰もが経験したと思うのね。仲間と触れ合う時間、一緒に飯食って笑い合う瞬間すら当たり前じゃないと実感できたからこそ、改めて歌にしたかったんだよね。「CLUSTER BLASTER」は、割と言葉で剥ぎ取っていく欺瞞とかの対象がわかりやすい歌だと思うんだけど、「BACK TO LIFE」は、誰もがコロナによって失ったものとして、人を選ばず響く曲に挑戦したかった。

-とはいえなんですが、TOSHI-LOWさんが歌われる“遠ざかる足音で さよならを告げる”“それぞれの 道をゆく”という箇所を聴くに、結局は個々に帰っていくという点がこの曲の肝だと思ったし、それが「CLUSTER BLASTER」とも通ずるところだと感じたんですよ。

BOSS:正解。まさにそこだね。「CLUSTER BLASTER」みたいに「この期におよんで前みたいな時代に戻るつもり?」っていう歌とは一見違うことを歌ってはいるけど、言ってくれた通り、同じことでもあるんだよ。仲間、友達、繋がり……それを持って自分の生活に帰ることがそのまま、どう生きていくのかの自問自答に繋がると思うから。TOSHI-LOWが歌うところは、まさにそういうことを表現してくれてると思う。

TOSHI-LOW:俺さ、BRAHMANで札幌に行った時にBOSSが連れて行ってくれたスープカレー屋をすげえ覚えてて。

BOSS:ああ、行ったねえ。

TOSHI-LOW:「ラストダンス」を作る前だから、2016年くらいかな。BOSSが「地方のライブから札幌に帰ってきたら、少ないギャラを握りしめて必ずこの海鮮スープカレーを食いにきたんだ。これを食えた日には、俺頑張ったなって思えたんだよ」って話してくれたのが忘れらんなくてさ。BOSSにとっての「帰る場所」に連れてきてもらったことが嬉しかったし、誰にとってもそういう風景があるんだってことを書きたくて。帰る場所がある安心感と、重なっても最後はそれぞれに帰っていく切なさと。だけど俺とBOSSがそうであるように、お互いの場所で闘ってるんだって思うと、不思議と寂しくはならなかったりさ。誰もがそういう感覚で繋がってるっていうことを込めたつもりだね。

-それぞれに帰る場所があるんだと認識することは、無理やりひとつの思想に収めるんじゃなく、一人ひとりがバラバラなままユナイトしていけるんだと実感するために最も必要な感覚だと思います。

TOSHI-LOW:「またね」って言ったとしても、会える保証がない世界に生きてるってことがよくわかったじゃん。だけど、「またね」っていう曖昧な約束があるから生きていけるもんだとも思う。明日会えるかわかんねえ、明日生きてるかわかんねえ--だからこそ今ある日常をどれだけ大事にして生きてこられたのか。その答え合わせをしているのが今なんだろうね。

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