ラブリーサマーちゃんに吉田豪が直撃「私はパクチーだけど、もっといい人間になりたい」

ラブリーサマーちゃん(Photo by Kana Tarumi)

最新アルバム『THE THIRD SUMMER OF LOVE』を発表したラブリーサマーちゃんに、吉田豪がインタビュー。前作からの4年間を語った前編に続き、この後編ではアルバム制作の裏側と、これからの目標を語ってもらった。


●【前編】ラブリーサマーちゃんと吉田豪が語る、みんな得するインタビューのあり方

●【画像を見る】ラブリーサマーちゃん 撮り下ろし写真


ーアルバム制作中、ものすごい不安そうだったのはどうしてなんですかね。「音源チェック中10分くらい本気で自殺しようかと思った」というツイートもあったりして。

ラブサマ:ヤバイですよね……疲れてたんでしょうね。この間まではフリーランスだったから、全部自分のペースでやることが可能だったんですよ。でも、会社と一緒にやるとなったら締め切りもあるし、今回のレコーディングは5曲一気にバーっと録ったり、すごくハードスケジュールだったんです。リリース日を後ろ倒しすればもう少し余裕ができたのかもしれませんが、『THE THIRD SUMMER OF LOVE』というタイトルなので、秋分の日の前には出そうって決めて。一日って24時間しかないし、そこから睡眠や食事の時間を引いたら、ものを考えたり作業できたりする時間って限られてくるじゃないですか。決められた期間に2曲レコーディングするんだったら時間とか頭を1/2ずつ使いますけど、5曲やるとなると1/5ずつしかできない。そうなると、一曲一曲に全力投球できていないような気もするし、逆に1曲に全力投球したら他の4曲がないがしろになってしまう。あれもやんなきゃ、これもやんなきゃ、みたいな感じで心がバタついちゃって。

―ちょっとナーバスになっていた、と。

ラブサマ:それと、今までは私とサポートメンバーとエンジニアさんの合計6人というミニマルな形で作ったんですけど、今回はさらにアシスタントさんとディレクターさん、マネージャーを加えた9人に増えたんですよね。私は大人数で喋るのが苦手なので、それがストレスになったのもありました。私以外に音楽をディレクションしてくれる人が増えるのは、「このフレーズとこのフレーズ、どっちがいいのかな?」とか、「どういうふうに歌えばいいのかな?」っていうジャッジを誰かに任せられるわけじゃないですか。だから本来はラクになるはずなんですけど、今回は初めてそのディレクターさんと仕事したので「私の音楽をこの人にどれくらい任せていいのか?」みたいな不安もあって……。そこは慣れていくうちに大丈夫になっていったんですけど。


Photo by Kana Tarumi

ー最初はキャパオーバーしちゃって。

ラブサマ:あとは久しぶりのアルバム制作で、前回から時間が空いたからレコーディングをどんなふうにやってたのか思い出せなかった部分もあって。ミックスや曲チェックとか、どうやるんだっけ?と戸惑っていたら、アルバムのリリースが一大事のように思えてきて、なんだか重くのしかかってきたんですよね。すごい辛かったです。

ーそれって具体的に何が辛いんですか?

ラブサマ:アルバム制作ってジャッジの連続なんですよ。そこで私が今までしてきたジャッジに間違いを見つけてしまうことが怖かったりとか、この判断をしたらどうなっちゃうんだろうっていう不安とか、そういうことですね。

ー過去のジャッジの結果を周りに絶賛されても効果はない?

ラブサマ:このアルバムを作っていて思ったのは、音楽的に優れているかというベクトルの評価軸と、私好みであるかという評価軸は近接してはいるけど全く一緒ではないなってことで。誰かが絶賛してくれていたとしても、それは私が目指しているもの、私が満足できるものとはまた違うと思うんですよ。

ー伊集院光さんのラジオで毎回曲をかけてくれたりすると、それは自信になったりする?

ラブサマ:「愛想つかされてないんだな」っていう事についてはホッとしますけど(笑)。

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