レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの“あの曲”に仕掛けられたリズム展開 鳥居真道が考察

前置きはこのへんにして「Killing In The Name」のリズムを見ていきます。まずイントロ。ギターとベース、シンバル類がジャーン、ジャーン、ジャーン、ジャーンと音を4回伸ばします。音符でいうと全音符。1小節と同じ長さの音符です。読んで字のごとくですね。俗に白玉と呼ばれています。白玉で音を伸ばす間、ドラムがシンバル類を4度叩くので4拍子の曲だとわかります。この箇所をイントロ1としましょう。

続いてイントロ2。ギターとドラムが引っ込んでベースが一人で新たなリズムパターンを提示します。このパターンは2拍3連と呼ばれるものです。なんだか面倒くさそうな字面の単語が登場しましたね。

なんてことはありません。なぜなら私たちは小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」という曲を知っているから。この曲のサビでは、まさにその2拍3連が使われています。「あーのー日」から「会ーえーなかったら」と歌われる箇所です。4拍子で手を叩きながらサビを歌えることができたのなら、2拍3連をマスターしていると言って過言ではありません。聴く限りでは2拍3連はシンプルなリズムパターンです。しかし、実はやっかいな存在でもあります。そのやっかいさとはなにか? 

まず最初にピザの切り分け方について考えたい。今目の前に一枚の巨大なピザがあります。これを16人で分けるとき、どのように切り分けますか。まず縦に切って2等分し、次に横に切って4等分、斜めに2回切って8等分、最後に斜めに4回切って16等分していくと思われます。2等分したものをさらに2等分して16等分するというプロセスを取るはずです。

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