オアシス「ワンダーウォール」25周年 「ロックの時代」最後のスタンダード曲を振り返る

「ワンダーウォール」がもたらした反響の数々

『モーニング・グローリー』から最初にシングルカットされたのは「ワンダーウォール」ではない。1stシングルの栄誉は「ロール・ウィズ・イット」に与えられ、次に「サム・マイト・セイ」が続いた。だが、アルバムの中で最も深い印象を残したのは「ワンダーウォール」だった。とくにアメリカではシングルチャート8位を記録し、ビルボード誌のオルタナティブソング・チャートでは10週トップを飾った。パブロック・ファン以外の層にも広がった。40歳以上の人なら誰もが、オアシスといえばこの曲を思い浮かべた。リアムもこう振り返る。「みんながすぐ思いつく曲ってあるだろ? この曲もそういう曲だったと思う」

同じころイギリスで、マイク・フラワーズ・ポップスによるキャンプラウンジ風のカバーがヒットしたことも人気に拍車をかけた。「パブに行くと、みんながジュークボックスのそばで手を振り上げて、この曲を歌っていたもんだよ」。当時クリエイションのマネージング・ディレクターを務めていたティム・アボットもこう語る。



その後オアシスは何度か混乱の時期を経験したが、それでも「ワンダーウォール」の人気は続いた。2008年には、オアシスとジェイ・Zの確執の争点になった。その年のグラストンベリーのヘッドライナーをラッパーが務めると聞いたノエルはブチ切れ、「悪いが、ジェイ・Zだって? ありえない。グラストンベリーは伝統的にギターミュージックって決まってる……グラストンベリーにヒップホップなんて認めない。間違ってる」

その後、同フェスティバルで、ジェイ・Zはギターを首から下げてステージに登場。オアシスの「ワンダーウォール」をバックにエアギターを披露した(これに合わせて、大観衆はシンガロングした)。さらにジェイ・Zは、マディソン・スクエア・ガーデンのコンサートでも同じ演出を繰り返し、こうラップした。「オアシスの野郎は俺がギターを弾けないと言うが/誰か奴らに教えてやれ、俺は正真正銘のロックスターだってな」



ご存知の通り、ノエルは何十年もこの曲に興味を示さなかった。「世界中、どの町に行っても、みんな『ワンダーウォール』を歌うんだぜ」と発言した。「俺はあの曲がとくに気に入っているわけじゃない――『シガレッツ・アンド・アルコール』のほうが何倍もいい曲だと思う」。彼は昨年、ローリングストーン誌とのインタビューでもこのように語っていた。「偉大なアーティストはみんな、そういう曲を1つは持ってる。俺の場合はありがたいことも5曲ある。でも俺がちっとも好きになれないっていうのが笑っちゃうよな」

リアムもうんざりしていた時期があると認めている。「あちこちでライブをしてきたが、『次の曲は気に入らない人もいるかもしれないけど』って俺が言ってもみんな熱狂するんだぜ」と本人。「今は喜んで歌っているよ。こっちが好きじゃなくても、みんなクリックしてくれている。結構な金を払ってくれてるんだから、こっちも応えるべきだろ。あの曲は自分たちの範疇を超えた存在なんだよ」

Translated by Akiko Kato

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