ジョン・ボン・ジョヴィが語る、2020年のアメリカと白人であることの葛藤

2020年に「スーパーマンのタトゥー」が意味するもの

―「これは政治的アルバムではない」と熱弁していますが、あなたが政治的にどちら寄りかは明白でしょう。あなたの人生やキャリアをたどれば、あなたの政治観はわかりますよ。

ジョン:(2016年の当選演説で)ドナルド・トランプの発言でひとつだけ正しかったことがある。彼は、すべてのアメリカ国民の大統領になる、と言った。あれは本音だったと思うよ。アルバムを政治利用するつもりはないが、そういう話はウェルカムだ。共和党の政策を悪く言うつもりはない。実際、悪いとは思ってないしね。彼らのゆるぎない信念には俺も素直に耳を傾けるし、友人の中には共和党支持者もいる。政策に関してはなんの問題もない。民主党の信念にどっぷりつかっているというわけでもないしね。俺はふさわしい人間に投票する。ただ正直に言わせてもらえば、「私はアメリカ合衆国大統領だ」と言ったら、それはすべてのアメリカ人の大統領であるべきだ。

俺にとって一番ショックなのは大統領が「青い州、民主党の知事や民主党の市長がいる青い州など知るもんか」と言った時だ。神に誓って言うが、(青い州にも)自分に投票してくれる共和党支持者はいる。ニューヨークに背を向けるのはやめてくれ。今日ジョギングした時も、フリーダムタワーの前で有権者たちが旗を掲げて噴水のそばに並んでいた。それなのに、彼らに背を向けて「ニューヨークなど知るか、ニュージャージーなどくそくらえ」なんて言うのはやめてほしい。

―80年代ロックの同期、セバスチャン・バックはTwitter上で熱心に政治的発言をしています。あなたと彼が、この国の理性の政治的代弁者だと感じたことはありますか?

ジョン:いや、俺は(Twitterで)彼をフォローしてないんだ。でも彼には頑張ってほしい。彼はカナダ人なのに、この国にやって来て、俺たちの国旗を誇りをもって掲げている。熱いやつだ。

―検疫中、どんな音楽を聴いていましたか?

ジョン:ついつい知っているアーティストばかりになるんだが、時々他のアーティストをふと耳にすると、音楽ビジネスの未来は素晴らしい連中の手にゆだねられている、と感じるね。今どきの連中でいえば、ハリー・スタイルズは本物だ。彼は本当にすごい。テイラー・スウィフトも本人が望む限りずっと活躍するだろう。彼女は人間としても、アーティストとしても成長している。ザ・ナショナルのメンバーとやったあれ、ああいう冒険をした点はすごいと思う。それと(ディクシー・)チックス! 彼女たちが復活して本当にうれしいよ。彼女たちはどん底を経験して、最高のアルバムをつくった。ロックバンドで言えば、今もずっとキラーズのファンだ。新旧問わずいろんな音楽があって、どれも気に入っているよ。



―上腕二頭筋にスーパーマンのタトゥーをしていましたよね。58歳になって、どんな意味合いを持っていますか?

ジョン:もうすっかり色あせたけど、ああ、いまも肩にある。1986年か87年にあれを入れたときは、スーパーマンのつもりだった。でも本当は『Slippery When Wet』のために入れたものさ――俺自身、スーパーヒーローの時期はもう過ぎ去った。ひととおり経験して、てっぺんまで上り詰めた。今では「S」はサバイバーのS。色あせてボロボロだけど、彩色しなおすとかそういうことはしたくない。でも確かにその通り、俺たちはサバイバーだ。

●【画像を見る】スーパーマンのタトゥー




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Translated by Akiko Kato

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