スティーヴ・ヴァイが今こそ明かす、エディ・ヴァン・ヘイレンとの友情秘話

張り合おうとするのは愚か者だけ

デイヴィッド・リー・ロスのバンドに加わった時は、ほぼ完璧なロックソングを弾けるまたとないチャンスだった。まさに夢のようだったよ。もちろん、エドワードと同じように弾きこなすなど無理だが、最善を尽くしてトライする。デイヴとステージ上でああいう曲を弾けるのは最高だった。俺が好きだったのは「アンチェインド」、音は抑え目だがすごくヘヴィな曲だ。「プリティ・ウーマン」はメロディが美しい。「パナマ」はいつ聞いてもかっこいい。それともちろん、「ホット・フォー・ティーチャー」だね。



当然、俺は彼のようにプレイできたためしはない。試みたこともない。エディ・ヴァン・ヘイレンと張り合おうとするのは愚か者だけだ。そういう人がいるのは知っていたがね。だがギタリストが曲を演奏すると、その構造が見えてくるんだ。ただひたすら完璧なんだ。『イート・エム・アンド・スマイル』の制作中、テッド・テンプルマンがエドワードの未編集のギター音源を聞かせてくれたことがあってね。ギターは1トラック、マイク1本で収録しているのに、オーケストラみたいなサウンドなんだ。パワフルで強烈な表現が完全に凝縮されていた。

あれほど有名なやつらと付き合っていると、相手はある種の壁を立てて、プライバシーや正気を保っていることに気付き始める。エドワードも、そうした壁を作っていたはずだ。だがいったん中に入れてもらえると――つまり、気の合ういい仲間だと認めてもらえれば―――彼はロックスターではなくなった。本当に陽気で、面白くて、創造性豊かで、単純明快。街を友人とぶらぶら歩いているような気分になるんだ。

彼は心の耳で俺たちを感動させることができた。ある意味、曲は明らかにシンプルだが、胸に響くものがあった。彼の人柄の優しい面が感じられる――もちろん、たまに激しくなることもあったが――俺には、「ジャンプ」のコードチェンジにも彼の人柄のある種のやさしさが聞き取れる。わかるかい?

Translated by Akiko Kato

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