魔法少女になり隊が語る、「RPG系バンド」の仮面を脱ぎ捨てた理由

ーボーカル陣のお二人がレコーディングで意識されたことは何でしょう。

gari:サビでは裏の箇所を歌ったんですけど、そのアイデアにしてもメンバーだけでは出てこなかった。新井さんが「やってみようよ」と提案してくれて、録ってみたら思わず笑っちゃうくらい「こんな面白い感じになるの!?」みたいな。メロディがハッピーだったりとか、幼稚っぽさもあったりとか、そういう楽しい部分があって。ツインボーカルになることで、その良さが倍増している感じがして良かったです。

火寺:私はいつもオートチューンをかけて歌っているのを、今回はかけないで歌いました。それはめちゃめちゃ大きな変化でしたね。ファンの方がどんな反応をするのか楽しみですね。

gari:あいつら変わっちまったなってね。振り返ると僕ら約6年間バンドをやってきて、最初はノリで「これ楽しそうだからやっちゃおうよ」と色んな設定をつけたり楽曲のアプローチも決めていったんですね。自分らが楽しければお客さんも楽しいだろ、みたいな考えがあったんですけど、我々も年齢を重ねてきて、今こそバンドもメンバー各々も変わらなければいけないと思うようになったよね。

火寺:そうですね。今までの活動でネックだったのが、私が喋れなかったこと。ラジオやテレビに出演しても筆談だったんですよ。なので、今後は何かしらの配信だったりとか、ライブのMCもどんどん喋っていきたいなと思ってます。

ーやっぱり自分の口で喋れないことに心苦しさはあったんですか。

火寺:活動を始めたばかりの頃は、そのルールを純粋に楽しんでましたね。だけど途中からボーカルだからこそ、ちゃんと自分の思いを言葉にしたい欲求が出てきたし、直接気持ちを伝えられないことが苦しさに変わっていきました。ポリープが出来たことが自分の中では大きな出来事だったし、それに加えて自粛期間で時間があったから、魔法少女になり隊とは何かを考えたりとか、火寺バジルという存在が今後どうなっていったら良いんだろう、みたいなことを色々と考えるようになって。ポリープやコロナの一件が、自分やバンドを変える後押しになりましたね。

ーせっかくなので、新井さんからみたメンバー一人ひとりの印象も聞けたらと。

新井:なるほど。ウイくんからお話しすると、真面目な人柄も好きですし、流行の音楽を追ったりしないことに好感を持ってて。僕は気になってチェックする方だから、好きな音楽しか聴かないっていう姿勢は音楽人として憧れるので羨ましいなと思ってます。あとプレイヤーとしても上手なんですよね。ただ、これまでは抑揚のない演奏をずっとやってきているので、さらっと鳴っているプレイじゃなくて、ちゃんと人が見えるプレイ。それが次に目指す道かなと思います。基本的にギターが上手だし、あとは音楽へのパッションの込め方を身につけたら最強のギタリストになるんじゃないかなと思ってます。

ウイ:ありがとうございます。頑張ろう(笑)。

新井:明治さんに関してはあまり喋らないんですけど、不意に発する言葉が芯を食っているので、もっと喋れば良いのになと思ってて(笑)。

ー芯を食っているというのは、どんな場面で感じました?

新井:みんなでバンドの方向性について話していたら、一時は「ここまでコンセプトを変えるなら、いっそ名前を変えた方が良いんじゃないか」みたいな議論になったことがあって。その時に一番しっかり喋っていたのが明治さんだったんですよ。「別に、バンド名変えなくても良いでしょ」と、そういう芯の強さがある印象でした。

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