リンキン・パーク、2002年の秘蔵インタビュー「俺たちを強くしたのは不屈の精神」

マイクが作ったリストに書かれた「グラミーを獲ること」

「壁にぶち当たってばかりで、もう諦めようと何度も思った」。近くのPopeyesでチキンがメインのディナーをとりながら、現在24歳のデルソンはそう話す。「その度に、自分たちにこう言い聞かせた。『俺たちには特別な何かがある。誰かがそれに気付いてくれるまで進み続けよう』ってね。何かに本気で取り組み続ければ、それがいつか実現するっていうことを、俺たちは身をもって証明したんだ。それが誰かの励みになればいいと思ってる」

彼らの発言や行動からは、リンキン・パークというバンドが歩んできた道のりの長さがうかがえる。バンドのミュージックビデオの企画から監督までを手がける24歳の韓国系アメリカ人のハーンは、バンドの成功について慎重に言葉を選びながら話す。「これだけの成功を収められたことには感謝してる」。リハーサルの再開前に、壊れた椅子のバランスをとりながら彼はそう話す。「でもその真っ只中にいると、こんなもんなのかって思ってしまうんだ。高校を卒業した頃からずっと夢見てたことが現実になった時、人はこう思うんだよ。『よし、次だ』ってね」

現在25歳のファレルは、やや驚いた様子でハーンの方に向き直った。「お前が覚えてるかどうかわからないけど」。バンドのベーシストはそう切り出した。「3〜4年前の俺たちは、世の中のバンドの大半と同じように『俺たちは何を成し遂げたいんだろう?』って自問してたんだぜ。各自が目標を紙に書き出すことを宿題にしたのを覚えてる。マイクが作ったリストの中には、『グラミーを獲ること』っていうのがあった。随分でっかく出たなって、メンバーみんな驚いてたよ」

フェニックス在住時に在籍していたバンドGrey Dazeで同じく苦労を経験していたベニントンは、男らしさと無邪気さを併せ持っている。『ハイブリッド・セオリー』のリリース前、彼はWarner Bros.でアメリカ国内のプロモーションを仕切っていたマイラ・シンプソンとある賭けをした。「彼女はストーン・テンプル・パイロッツのトリプルプラチナ認定ディスクを持ってた」。同バンドの大ファンだと公言しているベニントンはそう話す。「彼女がこう言ったんだ。『もしクリスマスまでにアルバムがゴールドディスクを記録したら、あれをあげるわ』。俺は彼女にこう言った。『悪いけどいただくよ』」。彼は笑ってそう話した。「もちろんジョークのつもりだった」



事実、『ハイブリッド・セオリー』は2000年のクリスマスの時点でゴールドディスクに認定されていた。「約束通り、STPの盾をもらったよ」。ベニントンは満面の笑みを浮かべてそう話す。彼はツアーバスの中で、いつもそれを抱えて眠っていたという。「誰にも触らせようとしなかった」

Translated by Masaaki Yoshida

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