現代はハーフタイムが覇権を握っている時代? 鳥居真道がトラップのビートを徹底考察

ポケットクイーンというインスタグラムで大人気のドラマーがいます。彼女がDrumeoというオンラインドラム講座を行うサイトの動画に出演したときに、聴衆をどのように踊らせたいのか意識し、それに即した演奏をすることが大事だと言っており、私は目を閉じて深く頷き、「それな」と一人呟いたのでした。やはり音と動きは分かち難い関係にある。実際、名人の演奏を聴いていると、なんだか音そのものが踊っているかのような感覚を覚えたりもします。



ところで、話は変わりますが、誰かのライブを観に行ったときに、ボーカルが「踊れぇ!」と煽ってきたら、その期待に応えるのはなかなかハードルが高いことなのではないでしょうか。いやいや、自由に踊れば良いじゃんという意見もあることでしょう。そのとおりだとは思いますが、真っ白いキャンバスを渡されて「なんでも好きに描いていいよ」と言われるようなものだから、困惑するのが現実といったところでしょう。たまに紫の照明がオレンジに変わったら、誰も踊ったことのないお前だけのダンスを始めなくてはいけないというルールを設けている場所があったりして、これがなかなかに大変なのです。

踊りを要求されることに比べると、手拍子を要求されるほうがまだコミットしやすいと思います。もし仮に、カーティス・ブロウに「Clap your hands everybody if you got what it takes」と煽られたとしても、その期待に応えるのはそれは難しいことではありません。なぜか。手拍子を打つのは2拍目、4拍目というマナーが広く共有されているからです。

ポピュラー音楽において、2拍目、4拍目というのは一般的にドラムのスネアが鳴らされるタイミングです。これをバックビートと呼びます。曲を漫然と聴くことから一歩踏み込んで、体を動かすなどして積極的にコミットしようと思ったときに、バックビートに合わせて手拍子を打つことが一番気楽にできることではないでしょうか。「いや、シンガロングのほうがイージーでしょ」という意見もあるでしょうが、ここでは捨て置きます。

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