投資家から指示される、米「バーチャルアーティスト・レーベル」が仕掛ける新しい試み

Strangeloop Studios*

ザ・ウィークエンド、ケンドリック・ラマー、SZA(シザ)といったアーティストのツアービジュアルを手がけてきた米Strangeloop Studiosは、Spirit Bomb初となるバーチャルレコードを2021年第1四半期にリリースしようと企画している。

「私たちのキャラクターは、セットやスタジオにいながらTwitchのストリーミングも同時で行えます。キャラクターはデジタル空間に完璧に組み込まれており、固有のIPによってさまざまなデジタルメディアを簡単に行き来できるのです」——イアン・サイモン、Spirit Bomb創業者


バーチャル開催となった今年のバーニングマン・フェスティバル(訳注:米ネバダ州のブラックロック砂漠で毎年8〜9月にかけて開催されるアート・フェスティバル)には、Xenという名前のバーチャルアーティストが登場し、ダークでメタリックなコードに囲まれた、目もくらむようなデジタルDJセットを舞台にパフォーマンスを繰り広げた。パフォーマンス自体は、EDMの基準から外れたものではなかった。基準から外れていたのは、Xen本人だった——なぜなら、彼女は実在していないから。

Xenは、Spirit Bombが生み出したアニメーションキャラクターだ。Spirit Bombとは、米カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を構えるメディア制作会社・Strangeloop Studios(以下、Strangeloop)から生まれた新しい「バーチャルアーティスト・レーベル」である。初音ミクやゴリラズといったバーチャルキャラクターを使うアーティストはもとより、世間を騒がせているバーチャルインフルエンサーのリル・ミケーラをはじめとする新しいデジタルインフルエンサーに触発されたSpirit BombとStrangeloopのトップを務めるイアン・サイモン氏は、バーチャル空間をフル活用するための総合的なレーベルの立ち上げを決意した。

「私たちは、今後5〜10年にかけて数多くのバーチャルキャラクターが世の中に出てくると期待しています」とクリエイティブディレクターのデイビット・ウェクスラー氏と共同でSpirit Bombを立ち上げたサイモン氏は話す。「私たちは、このコンセプトをリードし、音楽を生み出すためのクリエイティブな手段としての可能性の限界を広げたいのです」。

設立から2年を迎えたSpirit Bombは、まったく新しいタイプのレーベルであり、プレシードではすでに7桁の資金調達を実施している。同社の投資家には、ワーナー・ミュージック・グループ、人気ライフスタイルブランド・Chinatown Market、日本のエイベックス・エンタテインメント、さらにはこの実験的なレーベルが掲げる音楽の新しいマーケティングおよびリリース方法の可能性に目をつけた音楽系テクノロジースタートアップのアクセラレーター・プログラム「Techstars Music」などが名を連ねる。

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Translated by Shoko Natori

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